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「2人ともやめてよ!! 今回はお父さんが正しい!!」と文奈。
父は勝ち誇るが星男は全くどこ吹く風で、いつもののほほんとした表情だ。
「文奈」
母が言った。
「銀河くんとコンビニに行ってきなさい。せっかくホームステイしてるのだもの。いろんな所へ連れていってあげないとね」
「そだね」
文奈が頷いた。
「銀河くん、行こ」
星男の手を取って文奈が引っ張った。
2人がリビングを出ていく。
「本当に仲良しね。大人しい文奈にボーイフレンドが出来るなんて」と母。
「ボ、ボーイフレンド!?」
父がおののく。
「銀河くんはホームステイしてるだけだろ!! 断じて文奈のボーイフレンドではない!!」
「あら? パパ、やきもち? パパには私が居るでしょ」
母が父に抱きつく。
父が顔を赤らめる。
「ママ」
甘く香しい母の匂いが父の鼻腔をくすぐった。
それによって父の記憶が急激に過去へと巻き戻される。
「静ちゃーん!」
会社の休憩スペースのテーブルに座りペットボトルの紅茶を飲む清宮静に、社内一のプレイボーイ恋島がチャラさ全開で声をかける。
「相変わらず今日もメチャクチャかわいーねー」
恋島が静の肩に触れる。
静はさりげなく身体を退いて恋島の手を外した。
「静ちゃん、今度の休みオレとデートしてよ! お願い! この通り!」
恋島が両手を合わせ静にウインクする。
静の表情が曇った。
「すみません、恋島さん」
鈴を鳴らすような美しい声。
「お断りします」
静がペコリと頭を下げた。
「またまたー。恥ずかしがらなくてもいいんだよー。まずは試しに1回デートしてみよ! ね、後はそれから考えればいいから!」
そう言って恋島は再び静の肩へと手を伸ばした。
その指が触れる寸前。
ガシッと恋島の手首を掴んだ者が居る。
「やめろ、恋島!!」
「な、何だよ、紫!」
恋島が自分の手首を掴んだ男、紫良男をにらむ。
「俺の邪魔するな!!」
「清宮さんが嫌がってるのが分からないのか」
良男の声は落ち着いていたが、両眼は激しい怒りに燃えている。
「お前には関係ないだろ!!」
恋島が声を荒げた。
良男と恋島、2人の視線が火花を散らす。
「女性が困っているのを見過ごせん」
「何だと!! やる気か!!」
まさに一触即発。
そのとき。




