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「『鍵』をもらえました」


 星男が言った。


 豪雷同様に星男も足元がフラつく。


 文奈がその身体を支えた。


 文奈はまだもらい泣きしている。


「良かった…本当に良かった」


 文奈がしきりに頷く。


 いつの間にかピンク色の霧は消え、3人は校門の側へと戻っていた。


「宇宙人…」


 豪雷が星男に言った。


「俺はお前が悪い奴だと思ってた…でも、そうじゃなかったんだな。俺の間違いに気づかせてくれて…ありがとう」


 豪雷がペコリと頭を下げた。


「俺…あいつに…里村に連絡するよ。そして、ちゃんと謝る」


「うん、うん!!」


 文奈がさらに激しく頷いた。


「それが良いです!! 大賛成です!!」


 豪雷も頷く。


「宇宙嫁にも迷惑をかけてしまって…ごめん」


「ううう、宇宙嫁っ!?」


 豪雷の言葉に文奈がガーンとなった。


「じゃあ帰ろう、宇宙嫁よ」と星男。


「私はそんな変な嫁じゃなーーーいっ!!」




 日曜日の穏やかな午後。


 紫家では昼食を終えた面々がくつろいでいた。


 文奈と星男、そして文奈の父母の4人である。


 リビングのソファーで新聞を読む父。


 その前には文奈と星男がカーペットに座りテレビを観ている。


 母がかわいらしい陶器のティーセットをテーブルの上に置いた。


「はい、紅茶ですよ」


 文奈と星男がテーブルの側に来る。


「パパ」


「ああ」


 母の呼びかけに父が新聞を畳んだ。


 紅茶を一口飲んだ後、星男が口を開いた。


「文奈さん」


 文奈を見つめる。


「お願いがあります」


「え!?」


 今さら、改まった言い方をされ、文奈は戸惑った。


「ど、どうしたの、銀河くん?」


 文奈が不安げに答える。


「ボクはコンビニというものに行ってみたいです」


「コンビニ?」


「はい。楽しそうなので実際に体験してみたくて」


「へー。銀河くんの星にはコンビニないの?」


「ボクの星では科学が大幅に進み多次元的なアプローチまで到達してます。地球のような物質世界はすでに過去のもの。この身体も」


 星男が自分の胸を指した。


「地球に滞在するための仮の姿。入れ物に過ぎません」


「え!? 本当の銀河くんは違う姿なの?」


 文奈が首を傾げる。


「すごい怖い姿だったらヤダな」


 星男がガーンとなった。


「嫁に嫌われるピンチ!!」


「こら!!」


 2人の会話を黙って聞いていた父が割って入った。


「文奈は銀河くんの嫁じゃないぞ!! 私の娘だ!!」


「いえ、ボクの嫁です!!」


 星男と父が取っ組み合いを始めたので、文奈と母が2人を引き離した。



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