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最初は星男の予期せぬ行動に振り回されていたが、今はせっかく同じクラスメイトとして出逢えたのだから「任務」なるものに協力するのも、それはそれで良いのではと考えている。
「了解です、嫁よ!」
「ちょっと! 声が大きいよ! 嫁じゃないし!!」
星男の大声でクラス一番の美少年、孔雀山麗士がまたも文奈たちの方を見ている。
文奈は顔がカーッと熱くなった。
(やだ、孔雀山くんに勘違いされちゃうかも…)
文奈の顔を星男がジーッと見つめる。
チラッと孔雀山も見た。
「まさか!?」
星男の顔が「ガーン」となった。
「こ、これが嫁の浮気か!!」
「違ーーーうっ!!」
2人は揉めながら教室を出て校門へと向かった。
下校する生徒たちが何人も学園の外に出ていく中で。
1人の大柄な男が校門の前で腕を組み仁王立ちしていた。
「わ」
文奈がその男子生徒に気づく。
「あれはE組の豪雷くんだね」
文奈が言った。
「友達ですか?」と星男。
文奈が首を横に振る。
「全然、話したことない。噂では1ヶ月くらい前まですごく大人しくて弱々しい人だったのが、急にムキムキで頼りになる…『番長』みたいな人に変わったって聞いたよ」
「『番長』」
星男がアゴに手を当てる。
「地球の基礎知識にありました。強きを挫き弱きを助ける人ですね」
星男の言葉に文奈が頷く。
「うん。でも…」
「どうしました?」
「豪雷くんが『番長』になったらE組で起こってたイジメの加害者の生徒3人が…」
「?」
「ひどい怪我をして…転校してしまって…3人は何故、怪我をしたのかは警察にも学校にも親にも言わなかったみたいなの。何を訊かれても『死にたくない』って連呼してたらしくて…ちょっと怖いよね」
「イジメは絶対ダメです!!」
星男が声高に言った。
「うん。私もそう思う。でも…」
文奈が校門に立つ豪雷を見つめた。
「もしも豪雷くんが暴力で3人を追い出したのなら…ちょっと悲しいかも…」
「嫁が悲しいとボクも悲しくなります」
星男の瞳が潤んだ。
「銀河くん」
文奈が少し顔を赤らめる。
「ありがとう。ただ私は嫁じゃないよ」
「ええ!?」
「また驚く!!」
「おい、お前っ!!」
星男と文奈がすったもんだしているのに豪雷が気づき、2人に近寄ってきた。




