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日本史教師でもある中年の担任教師、川中島信彦に促され、教壇の前に立った星男は「めちゃくちゃイケメンな転校生が来たらどうしよう!?」という女生徒たちの夢をあっさり打ち砕いた。
「銀河星男といいます」
星男は天井を指した。
「宇宙から来ました」
生徒たちは困惑した。
こいつはいったい何者なのか?
たった数秒で星男は危ない人物と認識された。
ほとんど全員が失笑している。
しかし、中には全く違う反応の者たちも。
「ゴホン」
失笑しなかった1人、川中島が咳払いした。
「銀河の席は紫の隣だ。紫、面倒を見てやってくれ」
こちらも失笑しなかった1人、紫文奈は微笑みを浮かべ「はい」と返事した。
(面白い人なのかな?)
文奈は思った。
川中島の指示通り、星男は文奈の隣の席に座った。
「銀河くん、よろしくね。紫文奈です」
文奈は目一杯の笑顔で星男に話しかけた。
かなりレベルの高いキューティースマイルは黒ぶち眼鏡によって、全ての生徒たちから隠されているはずだったのだが…。
星男の眠そうな両眼がカッと見開いた。
「文奈さん!!」
星男が大声を出した。
生徒たちは思った。
こいつの奇行は、まだ終わっていないと。
「ボクとエッチしてください!!」
衝撃が走った。
「こらーーーーっ!!」
川中島が叫ぶ。
当然である。
教室内は騒然となった。
石化した文奈を見つめる星男は「あれ?」と首を傾げた。
何かを思いついたのか、ポンッと手を打つ。
「ボクと子供を作りましょう!!」
「銀河ーーーーっ!!」
川中島の大絶叫。
「ボクと結婚してください!!」
星男が言った。
教室内に安堵が拡がった。
否、本来ならこの発言も爆弾発言である。
が、前の2つがすごすぎて、何だかマイルドな内容みたいな雰囲気になった。
川中島も頷いている。
おいおい。