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プロローグ
途中で手を放しては絶対にダメ――。手を放したら呪われてしまうから――。
だが、呪いはかけられるものではない――、自らの脳で生まれ育つものだ――。
第一次世界大戦の数年前、我が国では文部科学省が手掛けた「呪い」を利用した教育が試行され、その余波は情報社会となった現代においても消え去ることなく、我が国では多くの人が呪われたまま生活を続けている。
呪いの強さや及ぼす影響は人により様々で、最悪の場合、命をも奪う事例がある。その危険に気付いた政府は、幾度となく緊急対策を講じたが、圧倒的な速度で拡散する「呪い」に歯止めが効かず、むしろ助長させてしまう事態に手をこまねいた。
ならば都市伝説化して自然消滅させよ――政府の最後の期待も虚しく、口伝いから書物、インターネットなどの媒体を介し、今日も多くの若者が呪われてしまう――。