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異世界で気ままに余生を過ごすハズがお嬢様のお家事情が聞いてた話と全く違うんだが

めっちゃ遅れました!ごめんなさい!

さて、天華から宣戦布告を受けたウサ達。その背が見えなくなるまで見送った後、その2人に倣って自分達の部屋へと帰るのだった。

そこで、レンから一言。


「────で?詳しく話して貰おうか。」


「えぇ、当然ですわ。レン様には知っておいて頂きたいですもの。」


そう快いにこやかな表情から一転、


「……ウォンジョ家について、ですわね?」


鋭い眼差しでレンに問いかける。


「あぁ、全く何も説明されることなくここに連れて来られたからな。」


そんなレンは事実をそのままウサにぶつける。なんとも意地の悪い対応だ。


「うっ……それにつきましては申し訳なく思っておりますわ……でも!私も焦っておりましたの。

なにしろ、提示された期限はまさに今日。少しでも遅れれば、有無を言わさず当主の座を奪われていましたから……。」


そこまで言葉にしたウサだったが、その先の言葉を紡げず口を噤んでしまう。

その姿を見かねたレンが話題を転換する。


「……ところで、あのアークレイという方は?」


「おば様……いえ、お母様の姉妹の……その娘ですわ。」


「なるほど、従姉妹ってワケか。」


脳内でウォンジョ家の家系図を思い浮かべながらレンがそう呟く。


「ええ────といっても噂を聞くばかりで、あまり顔を合わせたことはありませんが……むしろこの戦いが始まってからの方が顔を合わせるようになったぐらいですわ。」


……と、そこまで静かに話を聞いていたレンだったが、


「……しかし妙だな。」


感じていた違和を言葉にする。


「何がですの?」


いまいちピンと来ていないウサに、レンは疑問を具体的に示す。


「その……おば様の方は第二夫人だったんだよな?当主の継承を行う権利を持つのは、第二夫人か娘であるウサが優先されるんじゃないのか?」


「あら、知っておりましたの?」


「ある程度の家族構成は執事さんにな。」


そう、例の筋肉執事だ。今は「当主争いの邪魔になりますので。」と言い残してどこかに行ってしまったが……居なくなる前にある程度の事情はレンに伝えておいたらしい。


「ふふ、流石ね。

────話を戻しますわね。お母様が亡くなられた後、お父様は当初は……継承者におば様を選んだそうなのですわ。」


「…………ん?」


……と、さっきまで静かに話を聞いていたレンだったが、思わず感じていた違和を顔に出す。


「しかし、おば様は継承権を放棄し、私と自らの娘────アークレイ様を推薦したのです。しかし、我々は年齢も内面も未熟でしたから、2年の修行期間を設け、おば様はその期間のみ代理として当主の座に着いたのですわ。」


「…………えっと、あの。」


感じていた違和を口に出す。


「どうかしましたの?」


いまいち、レンが感じている引っ掛かりにピンと来ていないウサに、レンはその引っかかりを具体的に示す。


「えっと、執事さんから聞いた話なんだが、ウサのお母様がその第二夫人さんに毒殺されて────」


「はあああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ──────ッッッッッ????????????」


レンから思いもしない言葉が突然飛び出し、ウサはまるで鳩が豆鉄砲を食らったような顔をする。


「…………えっと。」


レンは食い気味に絶叫したウサをなだめようと試みるが、それは叶わない。


「あ、あ……有り得ませんわ!!そんなこと!!有り得ません!!!控えめでお淑やかで……何よりお母様の事が大好きなおば様がそんなことなさるハズがありませんわ!!!」


(……なんか雲行きが怪しいぞ?)


ここに来てようやくレンは、今まで感じた違和の正体に感づき始めた。


「おば様は、お母様をとても愛していらっしゃいました!…………というより崇拝に近くてちょっと怖かったのですけど……。」


そう弁解に近い何かをしようとするウサに苦笑いで応えつつ、


(あの筋肉ダルマ……!!!!俺に嘘教えやがったな?!!!!!)


内心そうブチギレる。全く、とんでもない筋肉ダルマだ。


「とにかく!!おば様はお母様が亡くなった件と無関係ですわ!そもそもお母様は毒殺できませんもの!!」


「何者なんだよウサのお母様は……。」


「ふふん、貴方のお義母さまになる人ですのよ!」


自信満々にそう言い放つウサだったが、


「そっかぁ。」


ぽんぽんと、まるで子どもをあやすような動作で、レンはその言葉を流す。

しかし、再びの違和感。


「……ん、待てよ?じゃあなんで、継承権を巡って自分の子とウサを争わせるような事を?」


その疑問の答えは、まるで脈絡なんてない。しかし、簡単に見つけられる普遍的な言葉だった。


「それは、おば様は家族の皆が大好きだからですわね。」


「…………え。」


レンの思考が止まる。この世界の練は、神々によって記憶を再構築されていたが、レンは違う。どうしても『家族』について大きなギャップが生じてしまうのだ。


「家族にも家族自慢しかしない人ですのよ。なんなら、家族以外の話を聞いたことがないくらいですもの。」


まぁ今回の話に関してはその『ギャップ』は関係ないのだが。


「……えっ、ウサとアークレイさんどっちも好きで、決められないから戦って決めてってこと?」


ほらね。そんな親戚普通身内にいないからね。


「……まぁ、概ねそうですわ。」


「なんじゃそりゃ……。」


当然、一般常識は持っているレンにもその話が常識ハズレだと分かる。マジでどうなってんだよこの一族。

さて、受け入れ難い事実を無理に飲み込みつつ、レンは、


「それで?」


そう続ける。


「えっ?これで全部ですけれど……。」


困惑するウサをさらに追い詰めるが如く、


「いやいや、1番重要な話だ。」


レンは根幹を、ウサの想いを問う。


「なんで、当主になりたいんだ?」


「…………えっ?」


「俺は、君が当主争いに負ければ、とんでもなく酷い仕打ちを受けると、そう聞いたから手を貸した。

……しかし、それはあの筋肉執事が俺を引き込むために吐いた嘘だった。」


「あのジジイ…………次会ったらクビですわ……!!」


一瞬のうちに無職が決定してしまう────そんな筋肉執事の扱いのぞんざいさには涙を禁じ得ないが、レンはあくまで真剣な面持ちで言葉を続ける。


「だから、俺はどうして君が当主になりたいのか知らない。その答えが出ない内は協力はできない。」


「そ、そんな!」


それは、先の見えない夜道。唯一見えた光明を一瞬で奪われるような絶望。それがどこかに持ち去られてしまうような焦燥。


「君にとってそれは、すぐには出せない答えかもしれない。でも当主を賭けた戦いまではまだ期間があるだろう?それまで俺も待たせてもらう。」


「……分かり、ましたわ。」


そんなぐちゃぐちゃな心境のまま、2人が迎えた初めての夜は更けていくのだった。

いつも読んでくれてありがとうございます!

ホントに遅れて申し訳ない!話を作る能力がカスになってしまっている……。

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