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幕間──百鬼夜行の末路

みなさん、お久しぶりです。まとまった時間がとれず、かなり投稿が遅れてしまいました。

投稿ペース戻せるようにがんばるね……

階下のはしゃぎ声をミュージックに、太陽が沈み暗く染まる空をぼぅっと眺める。

化け物になった影響か、本能的に遠吠えをしてみたくなったが、何とか理性でそれをこらえる。


(空はいい。どれだけ背丈が変わっても、どれだけ血に塗れても、変わらずにいてくれる。)


空を眺めるのが好きだった。勝った時も、負けた時もそこにあったから。

────今思えば、都合が良かったのだ。どこにでもあるし、どうしても届かないものだから、追いかけるのも、諦めるのも自由にできた。


(…………いつからだろう。こうやって空を見上げなくなったのは。)


……と、軋む車椅子の音に気付き、声をかける。


『……大駕、裕彩。パーティはもう終わりでありますか?』


「いんや、まだだね。今からが一番の盛り上がり……って訳でもないか?

……うーんなんというか…………こんな良い景色を独り占めするなんて水クセぇことすんなよな。仲間だろ?」


ゆっくりと車椅子を押しながら、大駕はいつも通りにそう言った。

車椅子の上には、心配そうな目でこちらを見つめる裕彩が座っていた。


(……右腕と両足の膝から下の感覚の消失。)


裕彩がヴェールで隠しているそれらは、死体のようにヒヤリと冷たく、おぞましい紫に変色している。

血の流れすらも止まっているため、壊死し始めているのだ。

来未と佐来によると、魂を食われた影響で自分の身体を自分の身体だと認識できない状況にある……らしい。


(……これから、四肢の内3つを失うというのに人の心配か。)


今日の晩に佐来が切除手術を行う。本来はすぐにでも手術を行わなければならなかったが、「焚擁を心配させたくない」と、宴会終了時間まで手術の時間を引き伸ばしたのだ。


「ちゃんとはなして。なかまでしょ。」


相変わらず読み取りづらい表情だったが、それでも悲しそうだと分かる。


『……こんな格好の奴を、まだ仲間と呼ぶのでありますか。』


気色の悪い化け物。一言でそう片付けられる今の姿。


「わたしたちは、そもそも差別されていた所をご主人様にすくわれてる。いまさら見た目なんかで差別しない。」


『…………我があちらに行くと、あの娘が怖がるであります。』


それを最初から見透かしていたように、裕彩は笑う。しかし、それを見透かしていたのは裕彩だけではなかったらしく、


「やっぱりね。」


「……そう…………言うと思っていた。」


「ふぁ〜おっとと、持ってきた〜よぉ〜。」


「ホンマ、世話が焼ける奴や。」


そう言って現れたのは、来未、京宮、明々、音子────大事な仲間たちだった。

それぞれ、パーティ会場から持ち出した豪華な食事を抱えていて、唖然としている博苗の前へとそれらを並べた。


「これが二次会……いや、違うな。本当のパーティの始まりだぜ!」


『……はは、お節介な仲間であります。』


変貌した肉体の影響で、味も匂いも分からない。ただ屍体を貪る感覚。それでも。


『うまい。』


そう言えるのは仲間がいるから。


『うまい……。』


そんな資格なんてないのに涙が溢れる。


『…………ありがとう。満腹であります。』


あっという間。パーティと呼称するにはあまりにも短すぎる一瞬。残ったのは、空の皿と涙を流す異形だけだった。


「そう。」


ギィ。車椅子の方向を変え、裕彩が皆に向かい合う。


「わたしたちは許されないことをした。」


自分勝手に他人の命を奪うこと。ましてやそれを「主人のため」と正当化した。

正に主人の顔に泥を塗るような行為。


「わたしたちが許されることは永遠にない。

そんな虫のいい話なんてない。でも…………」


「それくらい、言わなくたって分かってるわよ。」


『「「「「「「全てはご主人の為に。」」」」」」』


自分たちの主人が、本当に望んだ世界のために。

ということで、百鬼夜行の末路でした。

末路というよりは、この先の未来ですね。

彼、彼女らの行く末は、読者の皆様にお任せしますが、きっと明るい未来が待っているとだけお伝えさせていただきます。

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