百鬼夜行編 #26
めっちゃ遅れました……!
「…………私たち…………?」
「………………。」
その沈黙は、肯定と取るべきだろう。
その涙は、肯定と取るべきだろう。
(約1年前、ご主人様が死んで私たちはバラバラになった。あの時は全員自分のことで精一杯で────というのは、言い訳か。)
脚が止まる。後ずさる。
(所詮私は……私たちはご主人様がいないと、仲間1人も救えないのか……?)
そう思うと、情けなくて情けなくて。今まで自分がやってきたこと全てが、まるでままごとのように下らない事だと、そう思えてしまえるほどだった。
『おい、何諦めてんだよ。』
ふと、声がする。胸の内から声がする。
(諦めてなんかない。
……初めからその資格なんてなかっただけじゃ。)
『資格?資格なんか要らねぇだろ。』
その苛つく声は、こっちが惨めになるほど元気で、そのクセ不思議なことに、聞いているとちょっぴり勇気が出てくるような、
『友達を助けるのに、資格なんか要るかよ。
ほら、試合終了にはまだ早いだろ。』
でもやっぱりムカつく声だった。
「あぁクソ。クソ惨めじゃ。」
だけど……いや。
だから、タマモは前へと踏み出せた。
「まさかあのバカアホ鬼畜ロリコンに諭されるなんて。私も焼きが回ったみたいじゃな。」
タマモがここで全てを諦めてしまう事、そんなことを主人が望まないと知っている。
「大切な仲間を!!!大切な友達を!!!!!」
なによりも、そんなことよりも、
「諦められるわけないじゃろうがッッッッ!!!!!!!」
タマモはもう、大切なものを失いたくなんてなかった。
そのための1歩、そのためだけの前進だった。
「あきらめるもなにも。」
しかし、その1歩はただの無謀と化す。
「もう終わったことだから。」
「ぐっ!!?」
胸に拳をモロに受け、大きく吹き飛び、ゴロンと地面を転がる。
「さっさとあきらめさせてよ……っ!」
裕彩は叫ぶ。肩で息をしながら。汗か涙か分からないくらい、顔をぐちゃぐちゃにして叫ぶ。
「…………そうか。」
だが、タマモは立ち上がる。よろめきながら、身体のキズを治す余裕もないまま、無謀にも立ち上がり、吠える。
「そいつは無理な相談じゃなぁぁぁぁぁっっっ!!!!!!」
「──ッ!!このっ!!」
拳を振り上げた姿勢のまま膝を着いた裕彩に、まるで追い討ちをかけるようにタマモは叫ぶ。
いや、宣言した。
「これより、ドメットはァァァ──ッッ!!!オルファンタロム含む、貴様ら十二支が治める各国に宣戦布告し、その総てを統治下に置くことを宣言するッッッッ!!!!!!」
「……………………。」
一瞬、裕彩が硬直する。実際に目にし、耳にしたはずのこの現実。それを理解しようとしたが────
「…………へ?」
──結局、意味不だった。
「さぁ、まさか逃げるわけないよな?」
「……たまも…………あなた、じぶんがなにを言ってるかわかってるの?」
「もちろんじゃ。」
「ムリだよ、そんなの。」
「無理でもやってやる。」
笑う。物怖じなど何もないと。
「王の重荷が苦しいと!!!お前がそういうのならばッッ!!!!」
体力も限界で膝すら笑っている。それが去勢だと見ればわかる。一目瞭然だ。
「そのくだらない玉座とやらを!!!焦がし、壊し、私色に創り変えてやるッッッ!!!!」
しかし、それは『最高の結末』の前では何ら関係なかった。
「…………ご主人様は、それでいいよって言ってくれるかな。」
「当然じゃ。なんせ────」
それは、今日一番の笑顔だった。
「────我ら十二支が、認めた男じゃぞ。」
「…………そっか。」
思い出すのは、柔らかい雲のように笑う────
「……そうだね。」
こうして、『百鬼夜行』は結末を迎えた。
彼女らにとって最良で最高で最幸の未来を掴み────
「──いやいや。」
気配も、物音も、魔力反応もなかった。ただ、そこに最初から存在していたかのように自然に。だが、山中に真新しい建造物がたった程不自然に少女は、
「そうは問屋が卸さないでしょうが。」
かつて招希と名乗った少女はそこに立っていた。
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