百鬼夜行編 #24
めっちゃ遅れました……頑張ります……。
タマモは裕彩の左眼に収まる『惑星眼』をピンポイントで破壊するために。
裕彩は『限界突破』による圧倒的ステータス差をタマモに押し付けるために。
それぞれの思惑を胸に両者は同時に接近する。
そして、先にアクションを起こしたのは裕彩だった。
とんっ。前傾し、地を蹴ってタマモにもたれかかる。
今のタマモを倒すのに、複雑な動作や思考は必要ない。
触れるだけでも戦闘不能にできる程のステータス差。事実、タマモはこの行為すら目で追うことができないまま────
「無様に倒されるとでも思ったか?」
タマモの姿が消える。裕彩は理解より先に直感で行動を起こす。
「『雪身御供』。」
生み出すのは雪像。ただし術者そっくりの。
一瞬の瞬きのうちに三人に分身した裕彩に囲まれたタマモは、
「ははっ。」
焦るでも、怯えるでもなんでもなく。ただ、笑い────前傾。
バッ!ゴオォッッ!!さながら雪崩。タマモが分身の一人をその右手で掴んだ瞬間、連鎖するようにその他二体も崩れ落ちる。
しかし、恐ろしいのはその破壊力ではない。
「惜しかったのじゃ。けれど『わかる』ぞ。何をすればいいのかが!!」
捉えていた。分身の背後に控えていた裕彩の存在を。
(逃げないとあぶなかった……!!)
恐らく、『望む未来を引き当てる』……もしくはそれに類する能力。しかし、だからといって裕彩のやる事は変わらない。
「まずは、その力をどうにかすべき。」
神の力が切れるまで削り切る。
「できるものならやってみろ!!!」
ガッ!ガリガリガリガリガリッ!!!!掘削音にも似た音を鳴らしながら接近するタマモ。
裕彩から見えるその動きは緩慢。しかし『破壊』という概念に対する根源的恐怖が、行動を焦らせる。
「『業刹』。」
バッ!裕彩が天高く掌を挙げると同時、暗雲が立ち込め空の色が深く暗く染まる。
ヒヤリとした空気がタマモの頬を撫で、そしてようやく気付く。
「…………雪か!」
触れた物体から根刮ぎエネルギーを奪い去る、つまりは致死性の黒い雪だ。
「それだけじゃないよ。」
しかし、あくまでそれは『削り』の手段。
「くっ!?」
その雪と同時、どこに潜んでいたのか分からないほど大量の逝飢戯が、圧倒的ステータスの暴力がタマモを襲う。
しかし、裕彩の攻撃はことごとく無力化され、タマモを死に至らせることはなかった。
『終末神』の力がその攻撃達を確実に捌き無効化してくれるのだ。
だが、その猛攻は凄まじい。『終末神』の力の総量が減少していることが何となく分かるほど。
(…………このままじゃマズイ!!)
「いつリタイアしてもいいよ。焚擁。」
そう話している内にも、致死級の攻撃は乱雑に、しかし確実にタマモを狙って放たれ続ける。
「ほざけ!!ここからじゃ。」
パリン。唐突に何かが割れる音が響く。それは訪れる終末の前奏。
「この力を使うのは初めてでな。失敗しても恨むなよ。」
「一体何を…………!?」
(身体の動きが……鈍い!)
まるで、スローモーションのように動く身体。
それが錯覚でないことは直ぐに理解出来た。
「『時次元壊』じゃ。儀式はさせない。ご主人様も生き返らない。」
つまり、この周囲のみ時間の進みが失われているということ。
「く…………くぅ…………ッ!!」
藻掻くことすら許されず、ただ唸るだけ。そんな裕彩にタマモは手を伸ばし言う。
「…………もう楽になれ。裕彩。」
しかしだ。
「痛ッ!??」
動けないハズの裕彩の攻撃。
咄嗟に受けたダメージそのものを消し去るが、違和感までは消し去れない。
「なんじゃ今のは…………?!」
いつも読んでくれてありがとうございます!




