百鬼夜行編 #22
めっちゃ遅れました……頑張ります!!
さて、二人の戦いは近接戦闘へとシフトした訳だが、その力の差は歴然であった。
「……ッ!?」
方や、様々な基礎ステータスをバフするパッシブスキルで上昇させ、さらに『限界突破』でその20倍もの数値を叩き出している。
方や、様々な神々を自らの身体に降ろし、ステータスの一部と権能を借りているだけ。
どちらが勝つかは明確────
「まだまだじゃな。」
『逝餓戯』を炎で薙ぎ払いながらタマモが笑う。
(何……?わたしの逝餓戯がこんなに簡単に────)
たらり、汗が頬を撫でる。焦り?不安?…………違う。
「…………いやらしい戦術。」
暑い。あまりの暑さに溶けてしまいそうなほど。
「最善を尽くしているだけじゃ。」
いわば、日本の夏状態。いいや、それよりもっと酷い。そんな状況下で、雪の造物が万全を発揮できる訳はない。
「なら、全部冷やす。」
ぴん。人差し指を天高く伸ばす。
「…………なるほど、肝っ玉まで冷えそうじゃ。」
隕石が、先程まで静止していた隕石が、今度は凍てつく星に姿を変えてタマモを襲う。
「────風神、地神。」
だが、しかし。
「『烈』。」
その圧倒的な質量の塊は、呆気なく真っ二つになる。
「…………?」
一瞬の出来事。何が起こっているのか、理解が及ばず立ち尽くす。そんな裕彩に焚擁の人差し指が向く。
「ほうら、避けないとドーナツじゃぞ?」
裕彩が回避行動を取り始めたのと同時、一発、二発。轟音が空を裂く。
「……ッ!」
もちろん、裕彩もやられっぱなしではない。自分の身体ほどもある氷塊を連続で放つ。
その目的は撹乱と、焚擁の射撃攻撃を透かすためだったが。
「……煩わしいッ!」
それを手刀で全て斬り裂く。
ただそれだけで全てが分かった。
「……焚擁は優しいね。」
(────ッ。)
まるで、罠にかかる獲物のように、裕彩は自らの身体を差し出す。防御もなにもかも全て捨てて、タマモにゆっくりと近付く。
「なんの事じゃ?時間を稼ごうと────」
とんっ、タマモの人差し指が裕彩の額をつつく────否、逆だ。裕彩の額が、タマモの人差し指をだ。
まるで、捨身月兎よろしく自らの命を差し出すように……しかし、昔話とは話も登場人物も違う。
「……焚擁、私は殺さないととまらないよ?」
結局。タマモも覚悟を決めてなんかなかった。決めたフリをしていただけだった。
タマモが絶句しているうちに、裕彩はゆっくりと話し始める。
「…………凄いね。焚擁はきっと、私がたくさんの人を殺したら、ご主人様を悲しませるって、そうおもうんでしょ。」
「あぁそうじゃ!裕彩!!それが分かっているならどうして貴様はッ!!」
そんな、タマモの怒りが篭った怒号は、
「わからないよ。」
一瞬で打ち砕かれる。
「ご主人様がいない世界なんて、なにもかんがえられないよ。」
そう言って笑う裕彩が、その哀しい目が、寂しい目が、
「裕彩………………。」
「焚擁。」
タマモを鈍らせる。
「すきだよ。」
ヒヤリと、感じたそれは直ぐに痛みに変わる。
「でも、ご主人様の────私のためだから。」
両腕が動かない。氷漬けだ。
「ぐぁ…………うぅッ!!!」
それが、そんなことがどうした。タマモは自分を奮い立たせる。灼熱で両腕を解凍。急速冷凍と急速解凍を続け様に行った腕はもうボロボロ。それでも、
「腕くらいッッ!!!お前にくれてやるわ!!!!!」
仲間のためなら。
「腕じゃたりないよ。」
しかし、届かない。裕彩の蹴りの勢いのまま、身体が屋上から投げ出される。
「ご主人様が生き返るなら、わたしはしんだっていいよ。」
「まだ……まだッ!!!」
まだ、風神の力で、炎神の力で────そう思った矢先の話だった。
身体が縮む。力が抜ける。
(神降ろしが…………っ!!!)
時間切れだ。
「やっぱり、かみさまは見てるね。」
「裕彩ァァァッッッッ─────!!!!!!」
「バイバイ。またね。」
いつも読んでくれてありがとうございます!!!!!!
なんか、裕彩と焚擁がおでこごっつんこしてたので、文章を変更しました。




