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百鬼夜行編 #21

ぎゃー!!!めっちゃ遅れました……学校のテストだったんです!!ごめんなさい許して!!!

さて、待ちわびた時間だ。


「…………来たんだ。やっと。」


少女が待ち望んだ瞬間だ。


「当たり前じゃろう?」


しかし、それは最悪の時間だ。どちらにとっても。彼女らが敬愛する主人にとっても。

それでも運命の悪戯は残酷で、二人を再びこの場所に集めた。


「負けっぱなしは、癪に障る。」


「同感。」


リベンジマッチ。開幕。

出し惜しみはなしだ。そう言わんばかりに二人は持ち得る能力(チカラ)を発動する。


「『神降ろし』。全開。」


それは所詮借り物の力。借り物の力が器を満たし、それに呼応してタマモの姿が変わっていく。より完全な姿に、より神の使いとして相応しい姿に。


「…………ぜんぶあげる。『惑星眼』。」


それは所詮借り物の力。片目が別の生物のようにうねる、ゆらぐ、妖しく光る。


────そして、借り物の力同士はぶつかり合う。

しかし、借り物だからなんだというのだ。その光景を見ればわかる。


「────地神プラス炎神。」


それは本物だ。本物同士の戦いだ。


「いきなりいくぞ?」


突然、上空の雲を裂いて巨大ななにかが現れる。それは隕石。それも全長が一目で分からないほどに巨大で、地表に熔岩の迸る恐ろしい容貌をした隕石だ。


────『万天衝爆』。高密度高質量高エネルギーの物体。それを天より降らせる。

裕彩は一瞬目を丸くしたが、それは一瞬だけ。


「『界隷零禍』。」


ピシリ。迸る溶岩が、高圧で赤く染まる空気が、自由落下する隕石が、止まる。時を止められたように動きを止める。


(……なるほど、()()()()()()()()()()!!)


そう、高エネルギーの物体を凍結させるのはリスクが高いと考えた裕彩は、その現実を先送りにすることを選んだ。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

しかし、もとよりこんな雑な技で仕留めようなんて考えはない。


(だがそこまでは想定内じゃ!)


その凍結は片手間に行われた。少し歩かないと届かない距離にあるテレビのリモコンを取りに行くような、そんな片手間。しかし十分。

1手であろうが0.5手であろうが、遅れたならばそれは隙。


(この50メートルを埋める為に、使える手札を全部使う!!!)


接近。残り30メートル。


「……『逝餓戯(ユキウサギ)』。」


振り向きざまに複数の雪うさぎ────触れると即死のインチキ攻撃を繰り出すが、


「────光神プラス炎神プラス水神。」


『灼鏡』────発生した水蒸気が光を拡散し、兎を、雪を根こそぎ溶かし尽くす。残りは15メートル。

……だが、その影で、その先で次の布陣は既に整っている。


「『隷下の凍てつき』。」


ひやり。周囲の温度が一気に低下する。

ぞわり。それは女の勘か、ケモノの直感か。それに従い────


「──『背理の虚影棲(シャロウ・シャドゥ)』。」


どぷん。身体が地の中に沈む。その直後にタマモが元いた場所が氷の楔で貫かれる。


「…………無駄。」


それは、まるで追い込み漁のような様相を呈していた。

ガガガガガガガッ!!!まるで道路工事のような爆音を鳴らし、地面を刳り貫く。


「私の氷から……氷の檻からは、逃げられないよ。」


「そうか?」


────悪手。タマモの狙いを見誤った。


「ッ!?」


ガシリ。裕彩の足首が何かに握られる。


「影の世界においでませ。」


ズプリ。影の中で裕彩を待ち構えていたものは────


「……眩しい。」


『エクスプロージョン・フレア』より更に上位の光・炎属性魔法。


「『ビックバン』。」


カッ!!影の世界を照らしきる程の光が裕彩を包む。

次の瞬間、地面が突然破裂した。


「くッ…………。」


氷の楔を砕きながら空へと落ちる裕彩に、タマモが仕掛けるのは近接戦闘。

今度は狙いを見誤らない。


(……焚擁が通れるのはこの一本道だけ。怯んだと見せかけて攻撃を────)


しかし、時間にして数秒。いつまで経っても眼前にタマモは現れない。裕彩が目を細めたその時。


「『鏡光石火』。」


既に、背後をとられている。驚愕し、振り向くと同時にまるで流星のような蹴りが放たれる。


(────使われた……私の氷を。)


『鏡光石火』。反射物から反射物へと一瞬で移動する技だ。

氷の楔をクッションにし、着地する。そして、これでもう用済みだと言わんばかりに凍結を解き、ただの水に戻す。


「どれ、接近戦がどのくらい上手くなったか見てやるのじゃ。」


「……その無駄口。すぐに叩けなくするよ。」


「はっ!それは楽しみじゃなぁ!!」


轟ッ。髪が逆立つ。溢れる全能感、そして闘気。


「…………『限界突破』。」


ドゴォッ!地面を踏みつけると同時、周囲が炎に包まれる。


「『炎陣』……!!」


さながらそれはリング。1体1の真剣勝負のための、死闘のためのリングだ。ゴングはない。自然に二人の呼吸は重なり──────


「「────ッ!!」」


ぶつかり合う。

いつも読んでくれてありがとうございます!!!

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