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百鬼夜行編 #13

すみません!!遅れながら続きです!!

クルクルとシルフィアの周囲を魔導記憶の3つの円環が廻る廻る。あまりの加速にシルフィアの姿が見えなくなった時、その球体の内から声が聴こえる。


「雨と大地に作られ、風に煽られ火は闇を照らす。光に示され虚は無に帰す。そして始終は総て繋がり、総てを顕す。」


とんっ。その球体から現れたのは、シルフィアだった。しかし、元の幼い姿の面影はそこにはない。全体的にどこか涼やか──丈の足りないシャツの上に薄手の上着、極めつけの短パンだ。長い髪は上目のポニーで纏めている。

それは言うなれば『魔力回路に異常が無かった世界線の姿』だ。


「この世に顕す万象よ。我が手の内に在りて、敵を滅ぼせ。」


そして、背後で回り続ける円環が平行に並び、ゆっくりと、細身の何かを形にする。


「おいおい……なんじゃあそりゃ……!!」


「そうですね、名付けるなら────最終兵器トータルウエポン・ティターニア。」


シルフィアの手に取られた、妖精王妃の名を冠するその銀色の剣は、ギラリと六色に光る。

ふと、大駕はシルフィアの異様さに気付く。


(なんだ……?魔力を全く感じねぇ。さっきまでも漏れ出ている魔力は希薄だったが、全くのゼロじゃなかった……だが今は完全にゼロッ!)


そこに在るべきものが無いという根源的恐怖。まるでお化けにでも遭ったかのように、背筋がゾクリと冷える。


「気味悪ィ〜……!」


そう大駕が呟くと同時、シルフィアがゆっくりと大駕に接近する。


「先ずはあなたに感謝を。あなたがいなければこの魔法は生まれなかった。」


「へへっそりゃどうも。」


当然、いつ攻撃されても良いように構えていた。


「そして忠告です────今の私、()()()()()()()()()()()。」


構えていたのに、だ。


「──────!!!??」


獣のカン、だろうか。一瞬身を捩った瞬間、大駕の頬に一筋の紅が生まれる。そして遅刻してきた暴風が、その頬を撫でた。

────斬撃だ。


(なん……だ?!こいつ、まるで光でも相手にしてる気分だ……速すぎる!!)


その速さたるや、流れ落ちる血が唇に触れるまで、自分が攻撃されている事実に辿り着けないほどだった。


「次は反応させませんよ。」


背後から聞こえたその声に振り向くも、既に姿はない。

姿も、何もかも見えない。魔力で大まかな位置を感知もできない。だが、


「それはどうかな?」


ガキン!金属同士がぶつかり合う音だ。それはつまりそれは、大駕がシルフィアの攻撃に対応していることを意味している。


「弾いた!?」


バチバチ。蒼電によって身体中の体毛が逆立ち、その電撃を受けた青白い刀は黄金色に輝く。

左手に鞘兼剣を、右手に刀を持つスタイルこそ彼の本来の戦闘スタイルだ。


「────『迅雷皇牙(ジンライオウガ)』。」


迅雷皇牙、その力は彼に『神速』を与えるだけではない。自身の周囲に電撃を張り巡らせ、その電撃に触れたあらゆる存在に斬撃を加えるのだ。


「なるほど、それが隠し球。爆発を防いだのもソレですか。」


互いの力量は拮抗。

これ以上の押し合いは不毛だと断じ、逆に剣を引いて吹き飛び、地面に着くや否や再加速。その加速のまま光も顔負けの速度で剣戟を連続で放つ。


「あぁ、メーンディッシュは取っておく派なんでな!!」


対してまるで山のようにどっしりと構えた大駕は、その超速の斬撃を蒼電を走らせながら正確に打ち落とす。


「そうなんですね。私は満遍なく食べる派です。」


しかし、その均衡も永くは続かない。シルフィアは一瞬のうちにあと5センチで肌が触れ合う程の距離まで肉薄し、オートで自分に振るわれた刀を紙一重で避け、反撃の斬撃を打ち込む。


「グォッ!!?……グウウゥ…………」


胸に大きな一太刀を貰い、その衝撃に仰け反り低く唸る。

そして、咆哮。


「………………あァーッッッッッッッッッッ!!!!!!!スッゲェ楽しいッッ!!!!!アンタと逢えて本当に良かったッッッ!!」


「……ふふふ、そんな風に言われるとなんか照れますね。」


「だからって手ェ抜くなよ?!これが俺の最後の一撃だッッ!!!」


するり、左手の剣に刀を納め、周囲に展開した迅雷皇牙を引っ込める。代わりにその握る刀に、鞘に、蒼電が纏わり付く。

そして構えは美しくも荒々しい抜刀術。

対してシルフィアは切り上げの構え。円環が激しく廻り、刀身がより一層輝く。


「当たり前です。私にも譲れないものがあるので。」


一瞬の静寂があった。2人だけの空間。達人の間合いと言うには少し遠すぎたが、2人にとってはこれくらいが丁度いい。


「『我王閃ロードオブキングス』ッッ!!!!」


ガチャン。鞘が開き、荒々しく迸る蒼電が剣戟を加速させる。電磁砲(レールガン)を彷彿とさせるようなその超速抜刀に応えるは────


「『万術切断(フィアーレイ)』ッッ!!!」


身体強化率20000%。シルフィアの魔法の才覚────魔導記憶そのものをそのまま剣へと変換した『ティターニア』は、シルフィアの魔力を魔導記憶の全演算能力を持って身体強化の発動に使い尽くす。


「「はあああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁァァァァァァァァァァァァ────────────ッッッッッッッッッッッッッッ──────────────


…………この時、森羅万象が揺れた。剣撃と剣撃のぶつかり合いの結果は。

斬りあった姿勢のまま、残心。

────それは、数十秒。否、数十分だったかもしれない。最初に動いたのは大駕の方だった。


「………………つっよ。」


「……貴方こそ、強敵でしたよ。」


バタリ、前のめりに大駕が倒れる。


「ハハ……結局、相討ちですか。不甲斐ない。」


続けてシルフィアも膝をつく。

自分の身体に触れ、回復魔法を行使しようとするが、優しい緑の光は発生しない。


(回復魔法が使えないせいで身体の疲労が取れない……。)


「お兄様、皆さん、後は頼みます……!」


大駕vsシルフィア──両者共に行動不能のため引き分け。

いつも読んでくれてありがとうございます!!!

すみません!めっちゃ遅刻しちゃいました……


(追記)誤字みっけ!修正しときました。

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