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百鬼夜行編 #7

ちょっと遅れました!ごめんなさい!!!

──先手を取ったのは大駕だった。

その2mはありそうな身体をバネのように縮め、その大きな身体に負けず劣らずの大きさを誇る剣を肩に担いだまま、勢い良く地面を蹴って距離を詰める。


「なるほど、『神速』……ですか。」


招来の言っていた『神速の抜刀術』とやらを使うのは目の前の男で間違いないだろう。

だが、「しかし」とシルフィアは言葉を続ける。


「本物の神はもっと速いですよ?」


感じたのは嫌な予感か、ケモノとしての本能か、寸でのところで横方向への回避が間に合う。その飛翔体が槍の形状をしていると悟ることすら出来ないほど紙一重の回避。

シルフィアはそれを機とみたか、即刻始まる連射に次ぐ連射。

対して大駕はシルフィアを中心に円を描く様に、回避の勢いのままに移動し続け、発射される槍を避ける避ける。


「──ッ!!」


そして、シルフィアの周りを1周した辺りだろうか、機を見つけたのか、我慢の限界が来たのかは定かではないが、大駕はその大剣を盾のようにして槍の雨をやり過ごしながらシルフィアへと肉薄した。


「────ぅらぁぁぁぁぁ────ッッッッ!!!!!!」


────しかし…………ぴかり。

シルフィアの身体が、不自然な光を呈する。続けて轟音、それらは更に更に周囲を包み込み────


「────『パーフェクトディストラクション』」


──爆発した。

……『パーフェクトディストラクション』、シルフィアが独自に開発した呪文の1つで、その効果は単純明快、自爆。ただし代償はHPとMP、その全てだ。

つまりそれは、HPのみを全て消費するセルフディストラクションと違い、自分に回復魔法をかけ続けることができない事を意味しており、つまりは────


「──使うと確実に死に至る。我ながら威力過剰すぎますね。」


──と、柱の影から現れたシルフィアがそう呟いた。


「ふ…………私の分身(『D・C・Y』)だけで充分でしたね。

さぁ先を────」


パンパンと身体に付いた埃を払い、そのまま魔法で浮遊し次の階層を目指そうとしたその時、


「よォ…………探したぜ?まだ勝負は着いてねぇぞ。」


煙の中から、大駕が姿を現す。

かすり傷の他には目立ったダメージもなく、だ。

流石のシルフィアもそれには驚きを隠せず、驚愕した。


「…………!」


だが、すぐにその表情は笑みに変わる。


「……困りましたね…………私、あれ以上の火力出せないんですけど。」


「そいつは朗報だなァッッッッ!!!!!!」


──一方その頃。

4人は長い階段をひたすらに登っていた。


「………………なぁ、なんか階段長くね?」


「長いの。」「長いね。」「長いのじゃ。」


さっきから妙に次の階層が見えないことに疑問を覚える程に長い階段を登っていた。


「…………なぁ、やっぱ階段長いよな。」


「長いの。」「長いね。」「長いのじゃ。」


よく見ると、天井までの距離がさっきと変わらないように見えるが、それくらい長い階段を登っていた。


「……なぁ────」


「──だぁッ──!!!つべこべ言わずに登るのじゃ!!」


「いや、なんか……なんか…………変じゃね?」


「む……言われてみれば…………??」


さすがに2人も事の奇妙さに気付くが、


「「「「??????」」」」


それがどうでも良くなるくらい長い階段を登っていた。


「ぷっ!!」


ふと、だだっ広い広間で笑いを堪えきれず吹き出したような声が響いた。


「だァハハハハハハハ!!!!!!!誰もウチの幻術に気付きよらん、アホばっかやなァ〜〜!!!!!!」


そこに居たのは音子(おとね)、幻術と手数に注意の音子だった。

そして、4人は幻術によって階段の代わりに、広間の中央でぐるぐると円を描くように走らされていたのだ。


「ま、気付かれんように()()()()()()()()()()()んやけどな。」


そう言ってまた、音子は高らかに笑った。


「ま、タイムリミットまでお前らにはここで一生迷ったままでおってもらうで?」


勿論、幻術により4人は音子の存在を認知できないので返事はない。つまり今のセリフの数々はすべて独り言になる。


「…………反応返ってこーへんの寂しいなァ〜。」


──その瞬間、地面が大きく揺れた。


「……!?な、なんや地しn────ッ!!!」


その一瞬の集中力の乱れによる幻術の不安定化、そして外部から衝撃を受けたことで季が反射的に『停滞』を発動したこと、それら全てが噛み合う。


「ちぃッ!!」


認知の歪みに対して振るった季の斬撃は空を切ったが、音子が動揺したことにより幻術は完全に解除された。


「なるほど、私たちは幻術にかかってたみたいだね。」


「けっ、運のえぇヤツやなァ。」


音子はイライラとした様子で悪態をついた。

一方、練とタマモは……


「やっぱりそうだと思ったんだよな。」


「私も間違いなく幻術だと思ったのじゃ。」


なんか「俺は分かってたけどね?」みたいな雰囲気作りをし始めた。なにしてんねん。


「凄いの……ルミナは全然気付かなかったの……。」


しかし、正直なルミナ。

対して自分の行いの愚かさに気付き狼狽える2人。


「あ……あっ!!あっ!!!嘘!嘘嘘!!嘘嘘嘘嘘!!!!全部嘘!!!!全然わかんなかった!!!まじで何もわかんなかったから!!!!ガチガチガチ!!!!全然嘘!!!」


「じ、実は私も気付いてなかったかも知れないのじゃ〜。」


……ということで、3人とも幻術に対しての対策がないと知った季は、


「じゃあみんな、ここは私に任せて先に行って!!」


そう申し出た。あと小声で「1回言ってみたかったんだよね〜」と呟いた。


「ほぅ?えぇ度胸しとるなぁ!!」


「確かに……また全員幻術にかけられたらおしまいか……!季ちゃん!!ここは頼んだ!!」


そう言って階段を駆け上る練に対して、


「させるかァ!!」


そうはさせまいと肉薄する音子。

そして、それを阻むのが季だ。


「ちぃッ!!」


剣閃に阻まれた音子は舌打ちをしつつ、改めて季へと向き直った。


「悪いね、頼まれちゃったから。」


「しゃーない。取り敢えずお前をボコボコにしたる!!アイツらはその後じゃ!!」


さぁ、戦闘開始だ。

いつも読んでくれてありがとうございます!!!!!!!

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