百鬼夜行編 #6
遅れました……ごめんなさい!!
ワラワラと群がる兵士たち、そしてそれに向かっていく火球が弾ける。
「『エクスプロージョンフレア』ッ!!」
──轟音。そして閃光が止んだ頃、衝撃の光景がタマモを襲う。
「なッ…………全員『眼』持ちじゃと!?」
兵士たちは『眼』によって得た超耐性でタマモの放った爆風を無視し、そのまま飛びかかった。
「そいやーっ!!」
しかし、それらは全てルミナの飛び回し蹴りで空中に居るうちに打ち落とされる。
「恩に着るのじゃ!」
「問題ないの!」
「元がそんなに強くない分、倒せはするけど…………!」
剣を振り回して兵士たちを薙ぎ倒すが、その隙を埋めるように次から次へと兵士たちが距離を詰める。
「後1時間、でしたよね?」
シルフィアも魔法を放って敵の数を削ってはいるが、このままではとても1時間以内に城に辿り着くのは不可能だ。
「マズイな……!今は少しでも時間が惜しいってのに……この量は……!!」
しかし、一国の主であるタマモはできる女である。
「大丈夫じゃ。こんなこともあろうかと、頼れる助っ人を用意しておいたのじゃ!!」
その言葉を待っていました言わんばかりに、破壊されて横たわっている馬車から2つの人影が飛び出て来た。
「『衣装変換・二式』。」
「『暴食』。」
その人影が通ったあとには色鮮やかな生地が残るのみ。
「お、お前らは……!?」
「ふふふ〜久しぶりねぇ?金子練。」
「いや〜いつぶりだったかな〜?」
見知った顔に声、練は2人の事を知っていたし、2人も勿論練の事を知っていた。
そしてその名は────
「クレイジーサイコブラコン野郎に激ヤバ料理人!!?」
いえ、坂田愛理さんと鏡道香子さんです。
「だから野郎じゃないって言ってるんだけどなー?」
「誰が激ヤバですか?!!」
さて、相変わらずロリ以外に対する対応が終わっている金子練さんです。
「……けど、私達を呼んだのは正解かもねぇ〜。」
「確かに、私たちの能力はその『眼』とやらにめっぽう強そうだね。
……ってことで、ここは私達に任せて先に行ってよ!!」
「あぁ!頼んだのじゃ!!報酬も期待してよいぞ?」
「「期待しますっ!!」」
一体何を報酬にしたのでしょうか……?
ま、その話はまた今度。
「よーし!ドラゴンの出番なの〜!!!」
さぁ、子ども特有の柔軟な発想力。
なんと、ドラゴンという巨大な飛翔体に乗って城を大幅にショートカットしようというのだ!
「……なるほど、あの角はそういうことだったんじゃな。」
『さぁ!時間がないの!!』
全員がルミナの背中に乗った事を確認し、練が言う。
「よし!行こう!!」
『行くの〜!!』
それを合図にルミナは大空へと飛び立つ。
「戦いが終わったらまたみんなで食べに来てね〜!」
「分かった〜!!」
「…………それ死亡フラグじゃない?」
「やば。」
そして、
『ビ────ムッッッッッッッ!!!!!!!』
ルミナの放った破壊光線で城に大きな風穴が空き、その中にルミナは着陸し、人間態へと変化した。
すると、そこにはさっき馬車を破壊したライオンの獣人、大駕が胡座をかいて座っていた。
「おお、来たのか焚擁。でっかい風穴開けやがって、裕彩は悲しむだろうなぁ。」
「なんだこいつ?嫌味なやつだな〜。」
練がそう言うと、大駕はさっきの態度が嘘だったかのように突然オロオロとし始める。
「いや……悲しむだろうなって、嫌味じゃなくってその…………悪かった。」
「え、何こいつ。良い奴なん?悪い奴なん?」
「こういう奴なんじゃ。本当に悪気はないから気にする方が負けじゃ。」
タマモはそう言って首を竦めてみせる。
「フォロー助かるぜ焚擁。けど、お前らはここで止めるぜ。」
ブオン。そう言って振ったただけで大気が揺れるような剣をこちらに向ける。
そして、それに立ちはだかるのは、
「そうはさせません。」
シルフィアだった。
「シルフィア!」
「彼は私が相手をします。」
短く、目線を大駕に合わせたままでシルフィアはそう言った。
「よし、シルフィア頼んだぞ!」
大駕の隣を練達が走り抜ける。しかし、大駕は剣の切っ先をシルフィアに向けたまま微動だにしなかった。
「……止めないんですね?」
「まぁ、サシの勝負の方が好きだからな。
それに、お前の事をさっさとノックアウトしてアイツらを追いかけりゃいい話だろ。」
「それは私のセリフですよ?」
指を鳴らすと同時、魔導記憶が展開される。
──戦闘準備完了。
「……ッ!!いいねぇ!!女だからって容赦できねぇぞ!!?」
「ならばこちらも容赦なく……あなたをぶっ倒します!」
戦闘開始────ッ!!
いつも読んでくれてありがとうございます!!!!!!!




