百鬼夜行編 #2
「……さて、どこから話せばいいか……。」
タマモはそう独り言のように呟き、ちらりと佐来の方を見た。
その視線を受けた佐来がゆったりと話し始めた。
「そうだねぇ、タマモ以外の人達も居るようだし、『十二支』の事から話そうかねぇ。」
「あ、手伝うこと前提なんだ。」
さて、練が余計な口を挟んだのでまた話が脱線します。
お前この話降りろ。
「おややぁ、手伝ってくれないのかい?」
「まぁ、手伝うけど……?」
「おややぁ、おばさん、優しい子は大好きだよぉ。」
「は?うるせえぞバ…………」
瞬間、殺気を感じて練は息を呑んだ。
背中に乗っていたルミナの鯖折り攻撃が炸裂する寸前で、練は口を噤むことに成功したのだった。
「……一応言っておくが、俺が手伝うのはタマモにメイド服を着せるためだからな?」
いや噤めよアホ!
「は?」
まるで「断れないだろお前」とでも言うような練のドヤ顔のせいで、タマモの顔が怒りやらなんやらでぐちゃぐちゃになっていたが、その一方で懲りずに佐来は、
「おややぁ、おばさんはエッチな子も大好きだよぉ。」
……と、練に猛アタックを仕掛ける。
すると、一瞬で表情を切り替えた練が佐来に一言。
「うるせえぞババア。」
瞬間、ルミナの容赦ない鯖折り攻撃が炸裂し、練の背骨はぐちゃぐちゃになり、佐来は「若い子をからかうのは楽しいねぇ」と言ってくつくつと笑うのだった。
「う”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”!!!!!!!」
「…………うん、さっさと『十二支』について話すのじゃ。終わらん。」
閑話休題?とにかく本筋の話題へと何とか帰ってきたのだった。
「そうだねぇ、実は私とタマモは地元でブイブイ言わせ────」
嘘である。
「──嘘を言うな!!もういい黙っておれ、私が説明する。」
そう言って軽く息を吸って吐く。タマモはその一瞬の動作と間だけで傍聴者たちの視線を釘付けにしたのだ。
一国の王は伊達じゃない!
「あれは……60年くらい前かの。
私達はある男と共に、恵まれん孤児や迫害を受けた者を集めて12の国家を作り、その人々の解放の為戦った12人の戦士たちをそれぞれその国の長とした。
何処にも属さないそれらの国家は、やがて1つの国のようになった。」
「その国がドメットか?」
いつの間にか背骨を治した練がそう口を挟む。
「いや、ドメットはこの国の名前じゃ。
ただ、まるで1つの国のように仲良くやっていたというだけの話じゃ。
だが、そこに名前だけはあった。」
珍しく真面目な顔をした佐来が、それに続けて言う。
「──空白。自由の空と、何にでも染まる白。ここではあらゆる人が人生をやり直せる。差別も貧困もない。まさに夢の国だねぇ。」
「ふーん……そんな国が本当にあったのか?」
「ご主人様が生きていた時は本当にそうだったねぇ……。」
感傷に浸る佐来を無視してタマモが更に話を進めた。
「…………話を続けるぞ。さっき言った12人の戦士が『十二支』じゃ。
……それで?次は『百鬼夜行』について話してもらうぞ佐来。私もまだまだ分からないこと尽くしなのでな。」
タマモはちらりと佐来の方を見てそう言った。
すると、
「そうだねぇ。じゃあ招希、後は頼んだよ。」
ひょっこり。ぴょこぴょこと猫耳が揺れる。
佐来の後ろから1歩横に飛び出してやけに騒がしい猫獣人らしい少女が自己紹介を始めた。
「はいです佐来さん!!私は招希!招くの『まね』に、希望の『き』と書きます!
ジルニーアにある冒険者ギルドの副ギルド長と『魔眼対策委員会ジルニーア支部長』をやっています!よろしくお願いしますっ!」
「彼女には『謎の魔眼』についてを一任している。そして、『百鬼夜行』についてもね。」
いつも読んでくれてありがとうございます!
作中の表現を『十二獣』から『十二支』に変更しました!脳みそが決闘者…………!!




