俺の魂はお前らと共にありィィィ
めっちゃ遅刻……!!ごめんなさい!!
「金子練ッ!!行きまぁぁぁァァァァァァァァ──すッッッ!!!!!!」
思い切り膝を曲げ、バネの要領で宇宙空間に身を投じる。共進化形態で強化された身体能力は凄まじく、さっきまで居た部屋が一瞬で豆粒ほどにしか見えなくなるほどだった。
ところでまぁ、当たり前の話をするのだが、このままだと太陽光線などの影響で大気圏に突っ込む前にお陀仏確定だ。
「やるよ!ご主兄様!!」
しかしこの金子練、無思慮、無鉄砲で宇宙空間に飛び込む訳がない。
「あぁ……みんな、行くぞ!!」
これから行われるのは、無謀な自殺行為ではない。ただの『試験』だ。
『『「了解ッ!!』』』
その言の葉を紡ぐと同時、カオスの身体が2色の帯状に解け、それらが練の右手にお面のような形に集まる。そしてそれに呼応するように、身体の紋様が黒白2色に光り輝く。
「『『『──『模擬鎧殻』──!!!』』』」
────カッ!!
練達が一際眩い光を放った次の瞬間、そこに居たのは、兜の奥に蒼い双眸を覗かせる騎士だった。
『──『騎士骨格』っ!!』
『模擬鎧殻・騎士骨格』、ダーク、ライト、カオスの3人を鎧として纏った姿だ。共進化形態の完成形と言ってもいいだろう。
そして、この『騎士骨格』において最も特筆すべきことは、その防御力である。
「おぉっ!結構大丈夫だな!大気圏落下って言ってもこの程度か!!」
圧倒的防御力の前に例外はない。熱、毒、ガス、粉塵、花粉、ハウスダストetc……あらゆる障害を完全にシャットアウトするのだ!!
『『『……あち〜〜…………。』』』
ただし、それは中の人間だけの話だが。
「それについては本当にすまん……あぁ、そうだ。すまんついでにもう1つ謝りたいんだが。」
『『『?』』』
「どうやって着地するか全然考えてなかったわ。」
その瞬間、甲冑が一気に青ざめる。
『は、はぁ!?馬鹿じゃないの!?』
『この高度から落下って……ぜ、絶対痛いやつじゃないですか!?』
『あぁ、短い人生だった……ん?剣生かな?』
『『どっちでもいいよっ!!』』
『あはは……お姉ちゃんたち息ぴったり〜……さて、辞世の句でも詠むか。』
『『潔い!?』』
勿論、これで困るのは剣達だ。落下の衝撃がすごく痛い。
「はははッ!めっちゃいいじゃん!3人でお笑い芸人やったら?」
そして、困らないのはこの男だ。
『今から死ぬ剣にこれからの進路提案するのイカれてるでしょ?!!』
『的外れですよ!!進路も状況も!!!』
「ショボーン。」
『むむむむ……辞世の句、辞世の句。』
……だが、まだ諦めていないヤツがここにいた。
「なに諦めてんだよ…………諦めるなァ!!そうだ5点着地!!!やるぞ今!!!絶対成功させる!!!生きる事を!!!諦めるなァァァァァァ────ッッッ!!!!!!」
「そうだ」誰かが言った。賛同は賛同を呼び、生への渇望──希望は一気に伝播し、4人の心は等しく希望の火を灯す。
「『『『俺(私)達は、生きて帰るんだァァァァァァァァァ──────ッッッッッッ!!!!!!』』』」
「……因みに〜お客様の中に、5点着地のやり方をご存知の方はいらっしゃいますか〜?」
「『『『……………………。』』』」
いらっしゃらなかった。
「ん〜〜〜〜オワタ!!」
ぬか喜び、南無三。
『やっぱ辞世の句詠んどこ────
──もう地面。
あぁ、死ぬ。すぐ死ぬ────
──すぐ地面。』
『『「センス無ッッッ!!!」』』
『ショボーン。』
『そんなこと言ってる場合!?誰か助けて──!!!』
『もはやこれまでですか……美味しいご飯いっぱい食べたかったぁ〜!!』
4人はそのままきりもみ落下で地面────の上に立っていた鬼に追突。そのまま跳ねっ返って綺麗な3点着地が決まった。
「……え?……決まった…………?」
そう、なんとか助かったのだ。
いつも読んでくれてありがとうございます!!
自業自得ですね……。




