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オゾンより上でも問題ない

めっちゃ遅刻しました……ごめんなさい!

──蹴りが交差し、切り裂くような衝撃波が空気を揺らす。

そこは、宇宙。万華鏡のように万化する景色と一進一退の戦況、そこには男のプライドを賭けた戦いがあった。すなわちステゴロだ。


例えるならばまるでウロボロス。互いが互いを喰らわんと、もしくは喰ってみろと言わんばかりに拳を、蹴りを喰らわせ合う。


ただ、お互いの呼吸だけがその場を支配していた。声はない、真剣勝負に言葉は要らない…………否、むしろ拳こそが純粋な言葉なのだ。修飾も形容もない。「強いのは俺だ。」そんな二言を伝えるための遠回りな言葉なのだ。


1発2発、軽いジャブを回避しいなす。そしてカウンター気味に放った拳を紙一重で回避────そのとき、2人の呼吸が重なる。短い風切り音は2人の吐気……次の瞬間、ほぼ同時に拳を頬へとくらわせる。クロスカウンターだ。


「ぅ……やるな……!!」


「ふぅ…………よくここまで鍛えたもんだよ。父さん。」


……と、レクスが指を鳴らし、それに連動してゆっくりと時間の加速が落ち着く。


「……ん?負荷はもう終わりか。つまり……今からガチでやるって事だな?」


練はそう言って指の骨をポキポキと鳴らす。

……面影なくね?


「全然違う!いつからそんなバトルジャンキーになったんだよ……。」


練の変貌具合に驚いているのはレクスも同様らしく、額を抑えて溜息を吐き……そして満を持して言う。


「……地上に母さん達の魔力反応があった。」


それを聞いて練が困ったように笑う。


「え、えと……つまり?」


「タイムリミットだ。母さん達を待たせる気か?」


しばらくの間、4人は一言も話さずに互いの顔を見合わせいたままだったが、


「やーっとか!!もう待ちくたびれちゃった!」


「3年間、ずーっと修行修行でしたからね。」


「みんなと会うのが楽しみだね〜!!」


ダークの一言を起爆剤に、一気にお祭りムードになった。


「……正直言うと、もうちょっとカンペキにしておきたかったんだが。」


一方、1番騒ぐと思われていた男はしんみりと、悔しそうに歯噛みする。

それを見兼ねたレクスがフォローを入れる。


共進化形態レゾナンスオーバー無しでここまでやれるんだ。充分だろ?」


普段ならば、これで簡単に調子を取り戻して騒ぎだすハズ……だったのだが、


「あぁ、お前が魔力探知を地上に伸ばす余裕がなければ充分だったかもな。」


当の本人はそう言って自嘲気味に笑うだけだった。

え?本当に本人ですか?そう疑ってしまいそうだったが、『その時』は訪れる。


「息子に向かって皮肉か。大人気ないぞー……って何してんの?」


ふと、練が脈絡もなく、共進化形態レゾナンスオーバー状態になっている事に気付く。

その問いかけに練はまるで上の空のように、


「んー?耐久試験の準備。」


とだけ言った。

レクスも「ふーん……」と軽い反応だけを返してだけだったが、その次の瞬間、蒼白。


「耐久試験って…………お前まさか!!」


宇宙での耐久試験といえば、1番初めに思い当たるのはアレしかない。

止めようと踵を返すも遅く、練は既に手のひらを壁に当て、脱出孔を作り出していた。


「カオス、行くぞ〜。」


「準備バッチリだよ!!」


2人は手を繋ぎ、その穴に足を掛ける。


「バカ!お前死ぬ気か!?」


そう怒鳴るレクスを、まるで嘲笑うように手を広げて笑う。


「誰の心配してんだよ?季ちゃんを護るっつってる人間が、大気圏突入くらいで死ぬわけねぇだろ!」


そう、実は1番内心はしゃいでいたのはこの男だったのだ。1番冷静なフリをしていたが、1番ヤバかったのはこいつなのだ!!


「それに、お前が転移の準備するより、これで直接行った方が圧倒的に速いッ!!」


そして満を持して月から飛び立ち、青の惑星へのダイブを開始する。


「金子練ッ!!行きまぁぁぁァァァァァァァァ──すッッッ!!!!!!」

いつも読んでくれてありがとうございます!!!

先週の連続投稿、またあのタイプです。多分明日くらいに1本!調子が良ければ今日中にもう1本でるかもです。

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