新たなる敵
モチベーション!
「先ずは軽くジャブから行きましょうか!!」
『魔導記憶』を回し、数多の魔法から選び取るは────
「──『善悪の混絶』。」
黒白2色が空を描く。そこから生まれた雨が人々を2色に濡らしていく。
敵のみを黒に。
「更……にっ!!!」
手で空を凪ぎ、まるで月のような弓を生成し、魔力を乗せ、天へと向けて弓を引く。
「『六式ノ弓』っ!!」
そして、空高く放たれた矢は頂点に達すると同時にドーム状の弧を描き、地上へと6色・6属性の軌道を描き、炸裂。
その標的は、黒塗りになった敵全て。
「凄い……あれだけ居た敵を一瞬で!!」
「『善悪の混絶』でこの街の人間以外をマークして、『六式の弓』で無力化・拘束しました。
こういう魔法もアリ、ですよね!」
さらとそう言ってのけるが、それらは存在そのものが戦術兵器クラスの高等魔法。まさに机上の空論と言うに相応しい魔法だった。
しかし、
「うん、だけどまだ。」
ビリビリと、季は未だ活発に迸る強者のプレッシャーを感じていた。
「えぇ、拘束しきれなかった奴が1人!」
シルフィアは『善悪の混絶』で、マーキングした敵が、未だ活発に動いていることを感知していた。
そして、それがこちらに一直線に向かっていることも。
「居るな、強き者が。」
────トツ。3メートルはあろうかという大男の着地音にしては、あまりにもささやかな音だった。
劣鬼種にも見えるがしかし、その然とした佇まいが連想させるは武人。佇まいだけではない。その隻眼から放たれる異質な切り裂くような雰囲気、かなりの実力者である2人に生唾を呑ませる程だった。
「…………『鬼』……?」
「フン……如何にも。」
『鬼』、その単語を聞いたシルフィアが驚愕する。
「おに……?……まさか極東にいるとされるあの『鬼』ですか!?なんでこんな所に……!」
『鬼』、極東にかつて存在したとされる種族。
魔法が使えない代わりに『百人力』の語源とされるほど、人類で最も近接戦闘に長けていたという。
(出典【この異世界はふざけてる!】より)
「それは教えられぬな、強き者よ。我も主人との命約がある故。」
隻眼の武人はシルフィアの言葉にそう言葉を返し、背中に背負った塔と見間違うほどの大太刀を抜く。
「なら、強引に聞き出すまでだよ!!」
それに呼応するように季もブォンと大剣を凪ぎ、構え直す。
「私がサポートします!季ちゃんは存分に戦って下さい!」
「助かる!!」
油断はしない。時間を歪めて加速しながら、その鬼へと斬り掛かる。
「────我が名は『剛哃』。亡き主人に報いる為、その『闘気』狩らせてもらう!!」
そして、その鍔迫り合いが開戦の合図となった。
いつも読んでくれてありがとうございます!!
モチベーション復活!!後は今週分を2本投稿予定です!




