おいお前なに修行中にラブコメしてんだ──ッ!!禁欲しろ禁欲!!!
めっちゃ遅れました……この埋め合わせは今週中に必ず!!
悔しさを噛み締めるように、無力感を晴らすように地面に拳を叩き付ける。
「…………そうか、そうだった!俺のせいでカオスは…………!」
どうしてそんなに重大な事を忘れていたのだろう。そんな疑問が入り込む隙間もないほどに、早く。
『お、お兄ちゃん?!』
練は地面に自分の頭を打ち付けんばかりの速度で頭を下げた。
傍から見れば、たった1人きりで頭を下げる変出者。そんな面白珍景の完成だった。
「カオス……ごめん!!!」
『ちょ、ちょっとご主人様……!』
2人がそんな惨めな練を何とか止めようとするが、練は断じてそれを拒否した。
「二人も止めないで聴いてくれ!!これは俺なりの『ケジメ』なんだ!!」
『『…………!』』
緊張で口が渇く。不安だ。まるで言葉が喉に突っかかってるようだ。
……ゴクリ、そんな不安を生唾と共に呑み込み、遂に練は口を開く。
「………勝手に突っ走っていなくなろうとして…………俺が悪かった。誰の気持ちも省みず、振り返ることすらしなかった…………誓うよ、俺はもう一人にはならない。ずっとお前たちと居たい!!
だから…………帰ってきてくれ!!カオス!!!」
それは、受け取り様によっては告白ともとれてしまう、何とも気恥しい叫びだった。
…………と、ライトが何やら申し訳なさそうに囁いた。
『…………あの……ご主人様。申し訳難いんですが……。』
『ちょっとズレてる。』
そんなライトの気遣いをズバリと斬って棄てる。
「…………えっ。」
オブラートを根こそぎ破られたその言葉に、練は頭だけを上げた姿勢のまま硬直した。
それを受けてライトは(心の中で)顔に手を当てて溜息を吐いた。
そんな溜息ついでに更にライトが言葉を続ける。
『……まず、勝手に突っ走るバカなのは知ってます。そんなダメダメなとこも好きなので。』
その言葉は一応罵倒のハズなのだが、
「いやぁ…………そっかぁ〜〜!」
金子練には理解出来ない程高等な内容だったらしく、アホは照れ臭そうに頭を搔いた。
そんなツッコミどころには一切触れず、ダークが言葉を続ける。
『私達、勝手に独りで全部背負って消えようとしたことはもう怒ってないんだよ。1万年以上経ってるし。』
「…………え、じゃあなんで?」
プツン。2人の中で何かが切れた。
『『そ!う!い!う!と!こ!!!!』』
まるでステレオ音声のよう。息ピッタリなタイミングで練の両耳に怒鳴り声がぶつけられる。
「…………え?」
練が置かれた状況を理解し切る前に、捲し立てるようにして、2人が質問攻めをする。
『じゃあ質問!最後にカオスちゃんがしたことはなーんだ?』
「え〜?ちょ、言わせんなよ〜!恥ずかし……」
そう茶化そうとする練に2対の視線が突き刺さる。
『『…………。』』
「……………えと、キスをして頂きました………すみません………。」
『それで?ご主人様は何をしようとしました?』
「みんなの記憶を……………え?あっ、そういうこと!?じゃあマジで話ズレてるじゃん!!」
ようやく鈍い練でも気付けたようで、納得したように手を叩く。
『うん。』『そうです。』
「しかもマジで俺が悪いじゃん!?」
『はい。』『そうだよ。』
「………え、マジでごめん。」
ようやく事の重大さに気付いた練に対して2人は更なる追い討ちをかける。
『いや、ごめんじゃないですよ?どうするんですか。』
『可哀想に……カオス、引きこもっちゃったよ!?』
「マジでごめんしか思いつかん……どうしよう………どうしたらいい?!頼むから教えてくれ……っ!!」
情けなく頼る練の姿に、2人は思わずぞくぞくしてしまった。こんな趣味が自分たちにあったのかと困惑しつつも、2人は返答を返す。
『ま、まぁお兄ちゃんがそんなに頼むなら……ね?』
『え、えぇ。教えてあげなくもないです。』
「ほ、ホントか!?助かる!!」
さて、ここからが本題。
『そもそも、私たちの恋心からカオスは生まれたんだよ。』
『つまり、私たちの恋心に比例してカオスは大きくなる……とそう考えられます。』
「……あの、つまり俺は何をすれば……?」
練がそう聞くと、今度もステレオ音声の様に2人が囁いた。
『『私たちをドキドキさせてみて(下さい)っ!』』
そう、これが今回の本題です。
「なにィ────ッ!?」
いつも読んでくれてありがとうございます!!




