目眩く時空の消失=ロスト・クロノス #19
遅れました……ごめんなさい……!
「だめだ、季ちゃん。」
英雄は、無くなったハズの左腕で剣を受け止めながら、諭すようにそう言った。
「…………また。」
正しさを疑わないようなその台詞が、季の神経を根こそぎ逆撫でする。
「それ以上は、いけない。」
「またあなたですかッ!!!」
そう叫び、二度目の薙ぎ払いを放つが、加速しきる前の剣を、あまりにも簡単に優しく受け止められる。
「こんなことはもう…………破壊しよう。」
そして、行使される『終末神』の権能。
「────っ!!!」
破壊された大地が、人が、色が、世界に取り戻される。
起こった現象そのものに終末を、破壊という現象を破壊したのだ。
「あ、あれ……?なんともない。」
「俺達……死にかけだったよな?」
訝しむ者、歓喜する者、倒れていた神々が口々に話しだす。
「治療…………?否……怪我そのものの否定か!!」
「そんな『神』の如き所業……世界神くらいにしか!!」
「奴は世界神か!新たな!!」
「いいや、世界神ですら否定を他人に適用するのは不可能だ。」
「だとすれば奴は…………?」
あるものは記憶を、あるものは鑑定を、あるものは世界の記録をそれぞれ使い、男について、見知らぬ神について調べたが、
「あの男はなんだ!?」
誰もその男を知らなかった。
「…………そう、あなたが。」
しかし、季はそれを見て確信した。
この男こそが、自分の兄を治せる『可能性』だと、
「あの男の言っていた『奴』ッ!!!」
故に殺す。
「……ッ!?」
理解ができなかった。
(攻撃?何故ッ!?)
「季ちゃ──」
追撃、2度目。言葉は遮られ、低めの弾道を描きながら練は地面を転がる。
「弱いですね。これなら簡単に────!?」
季はあまりの驚きに思わず先の言葉を失った。
『反逆・超越・到達』の能力の1つ、『完全独立論理世界』。その意味・効果を理解しているからだ。
(自らを中心としたルールの展開とルール外の存在の完全無視。)
よってルールの範囲内、つまり季の周囲では、季の攻撃を阻むものなど、阻めるものなど一切在るはずがないのだ。
なのに、
「…………防がれた……?」
確かに、剣を受け止められた感触。まるで手で山を押したような無力感。
「辞めてくれ、季ちゃん。俺はただ、君を取り戻したいだけなんだ。」
(何なんだ……この男は!!)
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