目眩く時空の消失=ロスト・クロノス #16
ちょっと遅刻しちゃった……ごめんなさい!
「だって、もう限界でしょ?」
首を傾げてニコリと微笑う少女を、これほどまでに恐ろしいと思ったことはなかった。
普通、相反するものだろ。少女と恐ろしさは!!
「…………!」
そして一方、図星を突かれてかクールは思わず息を呑んだ。
たらりと、冷や汗が額を撫でる。
「私の『メンタルハック』はあなたに効かないみたいですけど……そんな事しなくても見れば分かります!動くたびに骨が砕けてるんですよね?今立てているのも筋肉で無理矢理身体を支えているだけ。」
「……嘘だろ?そんなになってまでどうして…………!」
起き上がった神の一柱がポツリとそう呟いた。
「『どうして』だと?」
汗を拭い去り、にいっと笑いながらクールは言う。
「私は……何千年とこの瞬間を待ち侘びていたんだッ!!!一瞬で終わらせてしまうのは、勿体ないだろうッ?!!」
「見誤った。」季はそう歯噛みした。
なぜならば、その言葉の通りここからがクールの真髄だったからだ。
「行くぞッ!!」
瞬間、季が身構えるよりも素早く、クールは接近した。
理論上は不可能なハズのその挙動に、季が驚いている隙に拳を打ち付ける。
「くッ!!」
正直、甘く見ていた。何度も食らった拳、大したダメージじゃない、簡単、むしろ反撃のチャンスだと、次に出す技を考えていた。
しかし、その考えは徒労に終わることになる。
「…………!?」
宇宙だ。軽々と、下手な小惑星程の重量を持つ『デモン・ヴォーカー』を持っている季を簡単に宇宙にまで吹き飛ばしたのだ。
(こいつ…………理屈じゃないッ!!)
季が、次の攻撃に備え体勢を整えようとした瞬間、既にその男の攻撃は始まっていた。
「がぁっ!??」
脳が揺れる。無重力の影響もあり、前後左右上下不覚に陥る。
食らったのは燃えるアッパーカット。
地上から一気にジャンプだけでここまで到達し、季のさらなる隙をつくる程の威力を秘めた、ただのアッパーだ。
「このッ!!」
しかし、流石魔王というべきか、その状況下でも剣を振るい、それをクールの左腕に当ててみせる。
「骨が完全に砕けた感触!!これでもう左腕は…………!!」
しかし、ふと思う。「何故この男は吹き飛ばない?」理由は簡単だった。
「それがどうしたッ!!」
答えは筋肉。重傷レベルの攻撃を受けても何のその、既に季の背後へと回っていたクールの回し蹴りが背中へと炸裂する。
「うぐぁッ!!」
吹き飛ばされた季はそのまま成層圏へと突っ込み、火ダルマになりながら戦場へと墜落した。
「く……ふざけたやつ…………!!!」
そう毒づき膝を突く季に一筋の光が迫る。
「────────隕脚ッッッッ!!!!!」
文字通り、隕石の如く一撃。
対して季はそれに片手を突き出すだけだった。
「ならもっと燃やしてあげるっ!『豪炎滅却波』ッ!!!」
詠唱破棄で最高位の火属性魔法が紡がれる。
筋肉ダルマを火ダルマに変えてしまおうという魂胆なのだろう。
だがしかし、
「な……!魔法が…………!!」
発動しない。
直後、蹴り炸裂。突き出した片手でそれを止められるハズもなく、簡単に。風が木の葉を吹き飛ばすように少女の身体が宙を舞う。
いつも読んでくれてありがとうございます。
簡単に章分けしてみました!!どうですか?




