目眩く時空の消失=ロスト・クロノス #2
すみません〜!!!メッチャ遅れました……。
次のは遅れないように!今日中にだします!
「話をしようか。君の知らないクロノスの……神咲季の話を。」
そう話すクールの言葉を遮るように肉薄し、蹴りを叩き込み言う。
「だったら話は終わ────」
しかし、蹴りが当たった直後、弾かれるようにして壁に叩きつけられる。
「────ッハッ!!??」
「悪いね、攻撃の意思は無かったんだ。立てるかい?」
(今のが攻撃じゃ……ない!?)
実際それは、ただの筋肉の震え、生理的反応だった。
「落ち着いたところで、話を続けようか。」
そして、クールは攻撃されたというのに至って冷静だった。
……否、相手にすらされていないと揶揄するべきだ。圧倒されるどころか、戦闘にすらなっていない。
(だめだ…………。)
それは、吹き飛ばされたことにより、逆に冷静になれたからこそ出た言葉だった。
(今、この男に勝てるビジョンが浮かばない……!!!)
「く…………ッ!!」
練は歯噛みした。
自分の無力さに、理不尽さに、そしてなにより、
(好きな女の子一人守れないなんて……情けなくて仕方ねぇ……ッッ!!!)
握り拳に込める力が更に強まる。
「…………はっはっは。見た目通り若いな、君は。
昔の私もそうだった。彼女と遭って私は自信を打ち砕かれ、更に激しく、キツい筋トレに励むようになったのだよ。」
男は、思い出を慈しむように、狭い部屋の天井を見上げ、軽く目を閉じる。
「…………それが、季ちゃん……?」
練は信じられなかった。過去の季についてトレイア────試練の女神に聞いてはいたが、この男を圧倒することなど想像すらできなかった。
「そうだ。見たまえ、剣が光っているだろう?」
ふと見ると、安置されていた剣の光が共鳴するように、強まっている事がわかった。
より濃く紫に、より妖しく、より禍々しさを増していくのが分かる。
「……!!」
「過去と未来の神咲季が一つになろうとしているのだよ。
出遭うと存在が抹消されるドッペルゲンガーも、それによって引き起こされた副作用の一つだろう。」
「……それを止める為にお前は……季ちゃんを殺すのか?」
ふと、クールは目の前の青年の瞳の炎が、未だ燃えている事に気付く。
(…………相手にされずとも、敵わないと分かっていてもなお、目の前の敵から目を逸らさず抗わんとする……。
やはり君は、私の見込み通りのいい男だ。)
「彼女がクロノスでなくなった時点で、こうなることは決まっていたのだよ…………さぁ、選ぶといい。このまま君の守ろうとした少女ごと世界が上書きされるのを黙って見ているか、一人の少女の犠牲を受け入れるか。」
故に一語一句、真実をあえて練の神経を逆撫でするように伝える。
そこからは、クールの期待通りだった。
「…………ざっけんなよ。」
「認められる訳ねぇだろッ!!!そんなことをッッ!!!!」
そう吠えながら練はダークとライトを換装し、構える。
「そうか、それは実に。」
クールの握り拳から血潮が迸る。
「実に僥倖だ。」
ふと、クールは無意識の内に自分が嗜虐的な笑みを浮かべていた事を自覚した。
『ご主人様!!』『大変だよ!季ちゃんが!!』
「分かってる。先ずは『アレ』だ!ここから脱出するぞ!!」
「脱出……させるとでも?!」
クールが強烈な威圧感を発しながら、ジリジリと肉薄する。
二対の剣があまりの圧に冷や汗を垂らし、練は思わず膝を突きそうになったが、すんでで耐え、言う。
「……してみせるさ。」
そして練はダークとライトを地面に突き刺し、逆手に持ち替えた。
『えぇっ!?いきなりぶっつけ本番ですか?!』
『しょーがないなぁ〜怪我しても文句言わないでよね!』
「いくぞ!!『『『共進化形態』』』!!!!」
いつも読んでくれてありがとうございます!!!




