激闘!!練vsフィアルーン(前編)
キターーーー!!!!最新話!!
「決闘はエルフ式で行いますよ〜!」
そうウキウキとした様子でフィオネムアが宣言する。
「エルフ式の決闘って?」
アホ面でそう呟いた練に、すかさずシルフィアが答えた。
「決闘用魔術と呼ばれる結界の中でお互いにダメージを与え合い、最終的に与えたダメージが多い方が勝ちになります。」
「なるほど、結構ルールは単純なんだな。
……因みに反則とかってあるのか?」
「特にないですよ。結界の中で受けたダメージは無効化されるので、死ぬ事はありませんし。
ルール無用の殺し合いの中ではカジュアルな方だと思います。」
「殺し合いにカジュアルとかってあるんだ……。」
tips──エルフ式決闘の歴史
エルフは体力が貧弱な奴が多いので、それを補うために開発されたのが決闘魔術だ。
この決闘魔術が開発される前の決闘は、ある程度離れた場所で同時に振り向き魔法を放つ、西部時代のような決闘をしていたらしい。
大量の魔法が飛び交う派手さ、そしてなによりその安全性から、伝統的なエルフの演劇の殆どにはこのエルフ式決闘が組み込まれていると聞いたことがある。
出典:【この異世界はふざけてるっ!】
「最後に一つ、注意して欲しいことがあります。
心して聞いてくださいね。」
「────ゴクリ。」
「負けた方には結構痛めのタライが落ちます。」
「なんでやねんッ!!エルフ式やないやろその決闘!!
どっちかというと浪速式やろそれ!?」
「ナニワ……?よく分かりませんけど、気絶するくらい痛いので、負けないように頑張って下さい!決闘が始まったら結界からは逃げられませんからね〜!」
「ウン……ワカッタ……ガンバル……。」
「え?なんで片言になってるんですか……?」
なにはともあれ。
「じゃあ始めますよ〜!」
「ちょっと待った、一つ条件を付け加えさせて欲しい。」
「ハンデ……いいだろう!!愛の試練は過酷であればあるほど、乗り越えた時により愛が深まるのさ!!!
魔法のみかい?それとも、利き腕の使用禁止かい?なんなら脚だけでも君に勝ってみせるよ!!
……さぁ、宣言したまえ!!愛の為なら私は無敵だ!!」
「……『武器の使用禁止』だ。」
「武器……それは杖やロザリオなんかの魔法を強化する触媒も含むのかい?」
「勿論だ。」
「ふむ……そいっと。」
宝石をあしらわれた高価そうな手袋をなんの躊躇いもなく投げ捨てた。
どうやらそれも武器、魔法に使用する触媒だったらしい。
「しかし解せないね。君の闘気は肉弾戦には不向き、完全に魔術師型だ。」
「……え、なにそれ。闘気?」
またもやアホ面でそう呟いた練に、シルフィアが補足を入れる。
「お姉様は相手の姿を見ただけで、大体の強さとどんなステータス配分になっているかが分かるんです。
ちなみにお姉様はゴリッゴリの脳筋、武闘家型です。」
「やば、つよ。」
「本当に分かってるんですか?」とぼやきながらシルフィアは更に言葉を続けた。
「それよりお兄様!なんで武器を使わないなんて条件を……ダークさんとライトさんを使えば、お姉様なんて一瞬でコテンパンじゃないですか!」
「一瞬でコテンパン……?」とフィアルーンが呟いているのも構わず、二人は話を続行する。
「そうかもな。だけど、それじゃあ俺が勝ったって言えないだろ?
何しろこれは愛の試練、らしいからな。」
「お兄様……!」
(……え?この男こんなにうっとしいキャラしてたっけ?)と、作者が首を傾げ始めた頃、遂にフィアルーンが口を開く。
「うん、成程。気に入った。さっき言ったムッツリスケベは取り消そう。」
「あ、うん。ありがと。」
「……だけど、気に食わない。」
前髪をかき上げながら少し長い溜息を吐き、大きく息を吸って、言う。
「私を前に、手加減して勝てると思っているらしいところがめっ──ちゃくちゃ気に食わないねぇ────ッッ!!!!」
否、叫んだ。
「手加減して勝てるなんて思っちゃいないさ。
自分だけの力で勝ちたい……ただそれだけだ。」
「お兄様……。」
1児の母(178歳)が恋する乙女の顔をしているのに目を背けながら、
「…………ふん。後悔させてやるさ。」
フィアルーンはそう吐き捨てる。
「じゃあ二人共5歩離れて〜。よーいどんで始めるからね〜!」
「いや『どん』って!!絶対締まらないでしょ?!決闘だよ?」
練がそうツッコむが、それをガン無視してフィオネムアがコールを始める。
「はーい!よーい、どんっ!!」
開始と同時、練はフィアルーンと距離を取るようにして後方、結界ギリギリのラインに向かって跳躍し、同時に風魔法を展開する。
(多分、距離を詰めて近接を仕掛けてくる。
ここは中距離から魔法で────)
それは、シルフィアとの会話から、推測した行動だった。
しかし、
「……いや近すぎんだろッ!」
既にそこはフィアルーンの拳の間合い。
加速をつけた拳が容赦なく練を襲う。
しかし、
「へぇ、結構やるじゃん。」
咄嗟に発動準備の整った風魔法を地面に放ち、急上昇して拳を躱す。
「目はいいんで、ねぇッ!!」
そのまま落下の勢いを乗せた拳を放つが、フィアルーンは拳を軸に勢い良く回転し、逆の拳で相殺、逆に練を結界の天井近くまで吹き飛ばす。
「あまいね。そんな拳じゃ、私に傷一つ…………?!」
しかし、
「そんな……打ち負けた……私が?」
拳にほんのりと赤色の光が灯る。
それはダメージを受けた事を報せるエフェクトで、つまりは練の一撃を受け止め損ねた事を意味していた。
「まだまだ!『エクスプロージョンフレア』!!」
更に、上空に飛ばされた練の魔法による追撃がフィアルーンを襲う。
「やった!お兄様が一歩リードです!」
しかし、精神的にはともかく、練の爆発魔法を食らってもなお、フィアルーンの数値的なダメージは軽微。
「だったらリード仕返すだけさ!!」
そう宣言し、フィアルーンは大きく跳び上がる。
練は更に追撃の魔法を放つが、まるでお構いなしとでも言うように、一切減速無しのまま練に肉薄し、蹴りを放つ。
「……受け止めるのか、これを……!」
しかし、天井の結界に立つ練は、左腕からぼんやりと赤光を放ちながらそれを見事受け止めてみせる。
更に、逆の手でその足首を掴み天井の結界に叩きつけるが、それは叶わず左腕で受け身を取られる。
「『灼炎』!」
さらなる追撃に練は手を突き出し火属性魔法を放つが、
「遅い。」
既に、掌よりも手前に移動していたフィアルーンの膝が練の鳩尾に決まり、大ダメージを示す濃い赤色の光を放ちながら、練は弾かれるように結界に叩きつけれられた。
「これで逆転だね。」
しかし、
(いてて……ちょっと硬すぎない?)
攻撃を放った側であるフィアルーンの膝も同時に赤い光を放っていた。
「ゴホッ……どうした?後悔させてくれるんじゃないのか?」
結界にぶつけられた衝撃でむせながらも、練は挑発してみせた。
「君……ホントに人間?」
「……今はな。」
いつも読んでくれてありがとうございます!!
遅れたのには理由が!!理由があるんです!!!結構重要な番外編書くのに夢中になってたんです!!近日中に出るからゆるして!!!




