はーれむ!はーれむ!異世界でHAREM!
またまたおひさ。
さてさて、季ちゃんのゴリラっぷりが露呈した前回だったが、今回の季ちゃんは真剣な表情をしていた。
(お母さん、翻訳お願い。)
「うん、わかった。
みんな、ここからは私が代わりにレクスの言うことをそのまま言うね。」
その言葉を受けて、三人はそれぞれ頷いた。
そう、決してレクスを喋らせるのが面倒になった訳ではない。決して()を使うのが面倒になった訳ではないのだ!
「えぇ、わかりました。」
普通にライトが言った。
特筆事項なし。
「このダークネスが、力を貸そう!」
そして仰々しくダークネスが言った。
腰に当てた左手と、水平よりも少し高い位置にピンと伸ばした右腕は高貴の証、心なしか目も爛々と輝いているようにみえる。
「どんな策を考えるのか……お手並み拝見という感じですね!」
そして締めに格好つけたシルフィアが言った。
パーにした右手を顔に当てながら、斜め三十五度の向きで、だ。
それをしっかりダークとの背中合わせで繰り出しているあたり、どうやらシルフィアとダークは波長が合うらしく────
「「決まった…………!!」」
──と、お互いにそう呟いた。
そんな二人を産まれ持った以上の白い目で眺めているのがライトだった。
そして、暫く「ふんふん」と頷いていた季が驚くような口調で呟いた。
「え?練くんを甘やかせばいいの?」
そんな茶番を繰り広げていたせいで反応が遅れた三人は、お互いに顔を見合わせて、
「「「は?」」」
と息を揃えて言った。
「ホントに?え……?それじゃあ、練くんがダメ男に……。あっ、それが目的なんだ。」
さてさて、不穏な空気が漂ってきたぞ。
そして三人はなんだかんだ以心伝心、目配せもせずに円陣を組み始め、何やら話し始めた。
「な、なんかヤバイ作戦立ててません?あの赤ちゃん……。」
設定通りにまで瞳の色を戻したライトが言う。
「え?大丈夫ですよね。今考えてるのって、ダメ男を生産する作戦じゃなくて、普通に生活させるにはどうするかって作戦ですよね?」
ダークはだいぶ焦ってキャラ崩壊気味だ。
バレちゃったねぇ。普段はただ悪ぶってるだけなコト、バレちゃったねぇ!!
「……やっぱり私の作戦で行きませんか?12時になったら強制的に昏睡する呪いを──」
「「それだけはない!!」」
食い気味に否定されて、思いっ切りショックを受けてしまったシルフィアさんは、
「いい案だと思ったんですけど…………。」
と呟いたまま、三角座りを決め込んでしまった。
「ま、でも季ちゃんは常識人(?)だから!」
「大丈夫です……!絶対におかしいって気付けるはずです……。」
さぁ、そこに三角座りしている非常識人と、季の区別が済んだところで、期待の眼差しで季を見詰める二人。
「え?あ。そうなんだ。なるほど、なるほど。」
はい、非常識人。
……というよりも、これは単純にレクスの口が上手いと推察すべきだろう。
さぁ、大変な事になってきたぞ〜!
「駄目です!突破されました!!」
「こうなりゃ私達だけでお兄ちゃんを守るしかない!大丈夫!多数決になれば3対2!私達が圧倒的優位!!」
「勿論です!お兄様をダメ人間にはさせません!」
さぁ、ダメ人間化計画を少数意見にする為に、ここに3人の少女が、立ち上がった!!
しかし、剣の少女2人は気付いていない。その代替案が、強制昏睡の呪いであることに!!!
……と、
「えーっと、いいかな?」
大盛り上がりの少女達に季ちゃんが遠慮がちに話し掛ける。
「「「かかってこい!」」」
まるで臨戦態勢状態の特撮ヒーローのように構える3人の格好を「……?」で片付け、季ちゃんは話し出す。
「……あのね、まずは自分は頑張れば何でもできるって考えを折らなきゃ駄目なんだって。
今の練くんは、自分で何でもやるという事を習慣付けちゃってるから、まずはそれをなんとかしないといけないって。」
「……え?さっきレクスくんにしたみたいに?」
そして、そのダークの余計な余計な一言は、レクスの自尊心を著しく傷付けたらしく、レクスは、
「だ、あう。」
とだけ呟いた。
「え?レクス!こら!何てこと言うの!えっ!?何処からそんな語彙が……!」
季の反応から、どうやらレクスが悪口を言っていることは推察できるが、この状況下でその内容を知ることができるのは季だけである。
「え?私何言われてるの?」
実際のところはバカとかアホ程度の生易しい悪口だったが、『分からない』ということは、その恐怖を想像力の分だけさらに掻き立てる。
「え、えーっと……わ、私の口からは言えないよ──。」
それは、『超』が付くほどの棒読みだったが、逆に声が震えていると捉えたのか、
「季ちゃんが言えないくらい高度な語彙を使って罵倒されてるってコト!?!
そ、そんな……口を滑らせただけなんだって!許してよレクスくん!!」
ダークは健康そうな褐色肌が土色になるほど青褪めていたのだ。
恐るべし、赤ん坊。
「だ……だー!」
「ひぃ……っ!」
なにこれ。
「だ、大丈夫ですよダーク姉!きっとそんなに大した事言ってませんって!」
見兼ねたライトが助け舟を出すが、
「だ、だって!実の父をダメ人間にしようとする作戦を考える子だよ!?」
「「…………。」」
「なんで黙るのさ──!!!」
あなたの台詞に説得力があり過ぎたせいですよ。
「とりあえず……作戦名は『甘やかし作戦』!!ここにいるみんななら絶対できるよ!!がんばろー!」
「とりあえずじゃないよ!!れ、レクスくん!ごめんって!謝るから嫌わないで──ッ!!」
(これが、家族ってやつなのかな。)
ポツリと、レクスがそんな言葉を呟いた。
それに対し、季は自信満々といった様子で答える。
「うん!最高の家族だよ。」
(…………そっか。)
「あ!レクスくん笑ってる!許してくれたってこと?!」
「う、だー!」
「ひぃぃぃ……!!」
剣の姉妹に、エルフの少女に、色々やばいお母さん。
片っ端から幼女ばかり。あぁ、不安だ。
(確かに不安だけど。)
だけど、なんか。
(なんとかなりそうな気がする。)
「レクスくんごめんって!!!!!!」
「…………え?そういえば多数決は────」
その後。
結局甘やかし作戦は実行され、金子練はダメ人間に────別にならなかった。
結局、練達の関係性は何も変わらなかった。
ダークとライトの甘やかしが『赤ちゃんプレイ』だったという点を除けば、その影響で数日間、練が二人と口を利けなくなったという点を除けば、ほとんどレクスの思惑通りになったのだった────そして。
「ふっ……あー!肩の荷が降りた気分だ!」
そう言いながら、練は肩を回す。
「実際降りたんですよ。お兄様はなんでもかんでも背負い過ぎだったんですよ。」
そう言うのはシルフィアだった。
子ども達がルミナや季と遊びに行ったらしく、この日は珍しく二人きりだった。
「……そうだな。まるで赤ちゃんの世話するみたいに勝手に杞憂して、勝手に頑張って、俺が持てる以上の荷物を勝手に背負っちゃったんだよな。
…………みんな、大人なのに。」
「そうですよ!私だって結構力持ちなんですよ?」
そう言ながら力こぶを作ってみせるシルフィアだったが、できるのは山ではなく、なだらかな丘程度だった。
「……いやそれは……なんなら腕相撲してみる?」
その単語を聞いたシルフィアは、少しの間首を傾げていたが、机に肘を立てる独特なポージングを見て、
「あっ、のこったハンドですか!いいですね……負けませんよ?」
シルフィアも同じくポージングをする。
……ってか『のこったハンド』ってなんだよ。原型ないやん。
「流石に家族の中なら3位ですけど…………あ──────ッッッッ!!!!!」
突然、シルフィアか奇声を発した。
どちらかと言えば、そういう事をするのは主に練だったため、練もそれなりに驚いていた。
「……んん?どうした?何か────」
「──お母様にお兄様紹介するの忘れてたぁぁ──ッッ!!!!」
「…………あぁ、お母様……。
────ええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇェェぇぇぇぇ────────ッッッッ──────────!!!!!??!!!」
……なんと、次回はシルフィアの母親が登場!「シルフィアと結婚んん──ッ!?!野郎、どこのペガサスの骨だ!!貴様にシルフィアは渡さん!!」
わーお!テンプレだ!久し振りぃ!
……って事で!
「やめて、私の為に争わないで!」
叫ぶシルフィア。しかし、コイツ等は止まらねぇ!
『激闘!!練vsフィアルーン』
次回も楽しみに待っててくれよな!
いつも読んで頂きありがとうございます!!!
今回投稿期間が空いたのには、受験という大義名分があるんだよ!!




