今世紀最大級の偏差値を誇る赤ちゃん
おひさおひさな本編!
(さて、まずは……。)
彼が果さんとする目的は親孝行。その為にしなければいけないことは……?
(ルミナ……姉さんを味方に付けるか。)
そう(心の中で)呟きながら家の間取りを思い出す。
ただの実家も、0歳の子供には大迷宮だ。
(ま、空飛ぶ家なんて実際迷宮……みたいなものか。)
……結果からして、ルミナを彼の味方に付けるという判断は正しかった。
ルミナが練に与える影響は非常に大きい。
それもそうだろう、たった二文字で練をロリコンに変えてしまったのだから。
(hac解除。)
時止めを解除し、『ルミナ』という札の掛けられた扉を開ける。
始めに感じたのは、
(ふわふわだ……。)
絨毯の柔らかさだった。そりゃあ四つん這いなので。
次に、ゆっくりと部屋の中身を確かめる。
(縫いぐるみにピンク色の家具……女児というよりは赤ちゃんの部屋って感じだな。
なんというか、姉さんの見た目よりも随分と……幼い。)
統一性が無い、趣味が無い、なにより自己が無い。
『一般的な』女児が好きそうな部屋として元から設計された部屋のようだ。
……いや、実際にそうなのかも知れない。
(…………相対的にそう見えるだけか?)
そう思ってしまうのも無理は無いだろう。レクスの精神は見た目に対して有り得ない程高い。
しかし、それは前世でも同じ事で、尚且それを自覚していた。
齢十一にして、教諭陣との口論の果て、学校に制服の自由化を認めさせたという過去もある。
しかし、この場合に於いてはこの過去は全く関係ない。
「…………何なの?レクス。さっきからブツブツ言って。」
ルミナは不貞腐れた様子でそこに居た。
部屋の片隅の勉強机に座っていた。
そこからくるりと、回転椅子を180度回転させ、ジトリと、レクスを上から眺めるのだ。
(…………なるほど、聞こえてるのか。それなら都合がいいな。)
紙に文字を書くか、最悪ボディランゲージで伝えようと考えていたレクスにとって、ルミナにそういった能力がある事は好都合だった。
「……?」
(ほら、お父さん大変そうだろ?なんかできることないかなーって。)
「ん。」
ルミナもそれには同意見のようで、小さく頷きと相槌を返した。
(でもさ、俺ってこんなちんちくりんだからさ、どうしてもできる事が少なくてさ。
だから手伝って欲しいんだよ。)
ふと、
(だからさ、頼むよ。姉さん。)
それは、話の流れの中での当たり障りのない言葉。レクスからすればジョークのつもりだった。
「…………ッ!!ぃ…………。」
(…………姉さん?)
「や──────なのっっっ!!!!!いや────!!!!!」
見た目よりも、レクスが考えているよりも……練が思っているよりも、彼女はまだ、幼い。
まだ、子供だったのだ。
「ルミナはルミナなの!!お姉ちゃんじゃないの!!!」
レクスは、そうヒステリックに喚く姉を目にして、失敗を後悔する前に一つ思った事があった。
(…………ッ……わかったよ、ルミナ、さん。)
家族に拒否されるのは、意外と、堪えるなと。
そう思ったのだ。
「……んむぅ…………レクスは、多分大人なの。ルミナよりも、ずっと、ずーっと。」
不貞腐れるように、回転椅子を再び回転させ背を向けたまま、「自分はそうはなれないと」半ば諦めるように幼子はそう呟いた。
「きっと、パパはお利口さんの方が好きなの。レクスの言うとおりにした方が、パパはきっと元気になるの。」
しかし、しかしながら、けれど、だけど、だとしても、それでも、
……でも。
「でも……でも、でも!ルミナが一番じゃないと嫌なの!!パパの一番はルミナがいいの!!
パパにもっとかまって欲しいの!!パパとたくさん一緒にいたいの──ッ!!!」
それは、世界を救った英雄にするには、下らない、取るに足らない、ただの、ワガママだった。
(…………そうか。)
けれど、初めて知った、誰も誰もが賢く生きられないんだと。
誰も同じように生きられない。一方の簡単は、もう一方にとっては簡単じゃないんだと。
「ルミナ…………!」
そして、時間切れだ。
「……パパ……?なんでここに……?」
「ごめん……ごめんな構ってやれなくて……!
あの時……ちゃんと、ちゃんと約束したハズなのに……!」
若干戸惑いつつも、抱擁を受けたルミナは、練を抱き締めた。
そして、チラリとこちらを見た後、直ぐに父の胸に顔をうずめた。
「パパ…………うん。」
「俺、頑張るから……もっと頑張るから……!!」
もっとできると、自分ならもっと上手くやれると思っていた。
(あーあ、駄目だったか。)
けれど、何もできないどころか、むしろ。
「だ…………ばあぅ…………。」
(ごめん、母さん……俺、余計な事を…………。)
「…………レクス?あなた……。」
(…………母さん。ごめん、駄目だった。)
いつも読んでくれてありがとうございます!!
ルミナの甘やかし地獄に練が囚われた!!
「パパ〜いいこいいこなの〜。」
「一生このままでよろ。」
それを良しとしないヒロインズは練の奪還を目論む!
次回!!このハーレム野郎ッ!滅びろ!○ねッ!!
また見てくれよな!!




