器
予約投稿忘れてた……すみません!!
君は、神になる為に足りないものがある、それが器…所謂レベルだよ。
いつか、試練の女神がそう言った。
だが、そのレベルに到達する事は不可能だった。
世界中の魔物を殺そうが足りない経験値。
試せる事は全部試した。
3日でギルディアの依頼を全部こなす。
それを一ヶ月続けたが、集まったのは規定のレベルの半分程度。
だから、練は……自分だけで全ての因果を背負い立つ事をーー
ーーー諦めた。
「全部の原因は俺にある。
全部自分が背負わなきゃダメだ。
俺じゃなきゃ出来ない。
……そう思ってた。だからこうなった!!!!
だから、1人だけでは背負わない。
……良かったな、アビス。
もしかしたら全部お前の思い通りだ。」
「準備は良いか?……死ぬなよ。」
イレギュラーがそう言った。
その言葉に軽くうなづき、
「れ、練君……!」
そして、練は……
「…………これ、喰うのは初めてだな。」
その深淵を、その手で喰らった。
「…………バカな……!…?」
「練君……?何やってるの…………?練君!?練君ッッ!!!!」
だが、元々深淵に支配されていた影響か、拒否感もなく、すんなりと喉元を通った。
「はぁ……はぁ……」
トレイアの力が身体中に漲るのを感じる。
今の状態ならば、神の耐性を超える事は可能だろう。
(だが、それでは勝てない。)
ならば、
「錬金術……試練を…………『俺に試練をくれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!』」
そして、錬金術が与えた試練は、
「練……君ッ!!?なんで?…………なんで!!!なんで……そんなっ!!!」
空から光が差し、部屋の中を白く照らし出した。
「ぐ……ぁぁぁぁぁぁあああああぁぁぁぁぁぁあああああ!!!!!!!!!!!!!!!」
「ここら一帯の深淵を……全部取り込んだって言うの!?ば、馬鹿な!?そんな事をすればーーー」
ーープツン。
まるで、テレビの電源が切れたかのように、練が地面に突っ伏した。
「練君!?練君ッ!!!……そんな……なんで!?なんで……なんでそんな……!!!!!」
「…………これが君の、金子練の秘策だった訳だ。
が、試練は少し難し過ぎたようだね……じゃあそろそろ…………私も秘策を出すとしようか!!」
右腕が朽ち果てる。
そのまま、まるで噛んだガムを路上に吐き棄てるような気軽さで、それを切り離した。
「時空神を決して逃さない結界なら……時空神を棄てればこの結界の対象外になれる……!!」
解放は一瞬だった。
朽ち果てた右腕だけを一瞬で喰らった空間が消滅し、内側にいた呆れるほどの悪を解放した。
「これで、私は滅びずに済んだし、簡単に金子練を手に入れることも出来た…………本当に感謝してるよ……時空神?アハハハハハハハハハハハハハ!!!!!!!アハハハハハハハハハハハハハッッッ!!!!!!!!!!アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!」
ーーー光の無い暗黒の空間。
数多もの意識の渦に飲み込まれる。
なにか、大切なものをわすれてるような気がする。
なにか、たいせつなものを、わすれていくきがする。
それは、自分…じぶんにとって、とってもたいせつなもの………
ジブン……?ジブンってなんだっけ……
その深過ぎる微睡みに堕ちた耳に、懐かしい声が聞こえて来た。
ーーーーパパ。
ーーーーパパーーーーーッッッッ!!!!!!!!」
「な……何ッ!?」
天窓が派手な音と同時に砕け散った。
「さぁ!ご主兄様を返して貰いますよ!!」
「お兄様!!……お兄様寝てる場合じゃ!?」
しかし、練の呼吸は既に止まった後だった。
鼓動も既に失われており、尋常でない程身体が冷たかった。
「まさか……死ーーー」
言いかけたその言葉を
「いいや!まだですよ!!」
カオスが遮った。
「まだ……まだご主兄様は生きています!!まだ!!私の装備状態は解除されてない!死んでなんかいません!!」
いつも読んでくれてありがとうございます!
今日中にもう一話投稿します。




