量産型
飛翔するのは風の刃、土の槍。
それに連なって水神と暗黒神も接近する。
新と想起が身を屈めた。
「ライトニングセイバー!!」
一直線、真横へと振るわれた光の剣が風の刃と土の槍を相殺したが、水神と暗黒神はそれを意にも介さない。
「んなっ!?」
その驚きをカバーするように、2人が加速した。
「俺たちに任せろ!!」「僕たちに任せろ!!」
新が水神へと接近する。
それに対し、反射的に拡散して捕食しようとする水神。
「フレイムアドバンサー!!」
全身から炎が噴き出す。
薄く拡がった水神が火炎に晒され、蒸発する。
更に炎を纏った大振りの剣で一閃。
「先ずは1人!」
新の剣とは対極的な細身の剣。
そして、想起の左眼が光った。
『鑑定』を発動したのだ。
「ウィンドバスター!!」
影を射抜く風の一撃は、その影ごと虚像を抉り抜いた。
「……頑張るねぇ。だが、何故そんなに頑張るんだ?
お前らは他のやつみたいに凄く強い訳じゃない。量産型の勇者だ、しかも旧世代のな。」
そう言って鼻で笑った。
「お前らが抵抗しても何も変わらないさ。
お前らが……ただちょっと強いだけの奴が世界を変えるなんて、不可能なんだよ。」
「…そうだな、確かに俺はちょっと強いだけの奴だ。」
だが彼は、彼の眼差しはまだ死んでいない。
「けど、ちょっとだけなら世界を変えられるはずだろう?」
「確かに不可能な事を諦めるのは効率的だ。」
だが彼は、その剣を捨て切れない。
「でも、それで諦めちゃったらカッコ悪いくない?」
「じゃあやーめた」
だが彼女は、その後に否定を続ける。
「…以前の私でもそんな事言わないわ。」
称号にも、スキルの欄にもどこにも彼等が勇者だという証明は無い。
だが、彼等は言う。
「「「だって、勇者だから。」」」
「「「じゃあ、そのちっぽけな勇者に力を」」」
そう神が言った。
それぞれの勇者に、それぞれ三色の光が宿った。
「ふ…ふはははははは!!!だから嫌なんだよ、勇者の相手するのは!!!」
言葉とは真逆の笑み。
予想だにもしなかった最高の展開だった。
「コレは……いや…お前は……!?」
勇者Aは驚く、右肩辺りに浮遊するその少女、地神シフテラの存在に。
いつも読んでくれてありがとうございます!!
遅れてごめんなさい。
最近絵を練習し始めたので、こっち書く時間が…!!




