龍人
「がぁぁぁぁぁぁあああああッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
肌が変質し始めた。
異常な程の硬質化、まるで竜の鱗だ。
鮮やかな赤色の髪が地に着く程伸びる。
鮮やかだった青の目は濁り、爬虫類のようなものへと変わる。
肉体の誇大化に耐えられない肌着やベルトが弾け飛んだ。
「ギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチィィィ!!!!!!!!」
敵を見つけたと言わんばかりに、シャカシャカという特殊な音を立て化け物が接近する。
人一人よりも確実に大きい、轟音と共に大鋏が突撃する。
そして、その怪物がもう1人の怪物と目があった時。
『麻痺、猛毒、火傷、氷結、眠気、石化、苦痛、呪い、恐怖、沈黙、狂化、集中不能、スキル封印、全ステータス低下の状態異常を受けました。』
ドシンと、全身に重圧がのしかかる。
それが、自分の体重だと気付くのはもう少し後だった。
抵抗虚しくギチギチと呻く蠍に、龍の怪物が接近する。
「グルルルルルルァァァァ…………!!!」
殺意だけで構成されたような、鋭い牙が見え隠れする。
野生動物のような暴力性を持つ爪。
それが今、その蠍の目に、ズブリと突き立てられた。
「ギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチ!!!!!!!」
人間で言えば、口に該当するであろう器官から、苦悶の声らしき何かが聞こえる。
だが、それを全く意に介さずに爪で目玉を縦に引き抜く。
ぶちゅり、という音がした。
「グルルルァァァァァァァァ!!!!!!!!!」
ズドン。
空気が振動し、まるで弾かれるように蠍が宙を舞う。
「グルルルルルル……………」
「さあね…僕はいつから僕なんて言うようになったんだろう。」
ーーーじーーーーくーーーーん!!!!」
病み上がりの頭が急旋回する。
ギョッという擬音が正しくそれだ。
「あぁっ!?な、なななななんでこんなーーーッ!!!!」
その前傾姿勢のまま、両腕を広げ、突撃する。
「じーーーくーーーーーんじゃなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁいッッッ!!!!!!!!!!」
「グッホァァァァァ!!!!?????!!」
病み上がりに、突撃の威力を乗せたドロップキックが炸裂する。
容赦なんて要素はどこにもなかった。
「じーくんを……ジークアスタを何処へ隠したんですか!?答えなさいっ!!」
「ぅ……なんで…こんな……」
「答えなさいと言っているんです!」
この世は理不尽の連続だ。
一応気体操作で衝撃を殺したり、色々やったのだが、やっぱ痛い。
「…キタノモリノオクデス……」
「…私の知らないじーくんを知ってるのは、ちょっと妬けちゃいますが…情報の提供、ありがとうございます!」
「……妬けちゃう…か。いいなぁ…僕も誰かにそんな風に想われたいなぁ〜!……はぁ……」
そして、彼の姿が揺らぎ、ただのアストルの姿に変わった。
「…さて、僕も頑張らないと。」
いつも読んでくれてありがとうございます!!
…?覚醒?知らない子ですね。




