圧倒的な物量差
「ーーーッ!?」
クレイズが暗黒神に掴み掛かられる。
一瞬、クレイズが硬直し、直ぐに身をよじり始める。
「やったー!おねーちゃん捕まったー!!!」
「いけー!!やっちゃえー!!」
ジリジリと、水神や土神、そして別の暗黒神がクレイズに近づいた。
その内の一体を蹴り倒し、背中に組み付いた暗黒神を遠くへ投げ飛ばす。
「ちぇーつまんないのー」「もっとがんばれよー」
無責任な言葉を言い放つが、暗黒神には届かぬようで、蹲ったままピクリとも動かない。
双子は既にその暗黒神に対する興味を失い、『戦い』の観戦に熱中していた。
「ふぅーーー」
クレイズが、ゆっくりと息を吐いた。
ただ、それだけの行動だったが。
「「ーーーえ?」」
双子は確かに見た、彼女が口の端を、ほんの少しだけ歪めるのを。
ーーー先ず、彼女が取った行動とは、『敵に接近する』ことだった。
しかし、詰める間合いが明らかにおかしかった。
遠いのだ、それは素手の間合いにしては、余りにも遠過ぎる。
この間合いは、まるでーーーー
「ーーーーーフッ!!!!」
土神の首と身体が、真っ二つに弾かれた。
宙を舞った首が落ちるのと、双子が混乱するのは同時だった。
「なんで!?なんでなんで!?なんで切れるの!?」
「わかんない…わかんないよ…何も持ってないのに…」
そして、2人に冷たい何かが突き付けられるのも、同じく同時だった。
「ハロー!!…いや、もしかすると外は夜?だったらグットイブニング?………あの〜今何時か解ります?」
双子は、転がっていた土神の首を通して、その背後の人物を見た。
奥でクレイズが、『流石お姉ちゃん!』と書かれたホワイトボードを掲げていた。
「…だれ?」「いつからいたの?」
2人は、彼ーーー又は彼女が誰かを知らない。
パーカーにジーパンを履いている少女は、その双子にセミオート式のハンドガンを突き付けていた。
「あはははは!!!!気付かれてなかったのかー!ー!!!ずーっと居たよ?あはははは!!!!!いやーー!!!『切り札』冥利に尽きるなぁ〜!!!!」
心底嬉しそうに笑う、自らを『切り札』と称する少女は更に力を込めて銃を突き付けた。
「いやぁ…質の良い悪感情をどうもありがとうね?
とっても、とってもお腹いっぱいだぁ〜!
あとは、悪いんだけど、この洞窟に入ってる全員を解放してくれる?」
いつも読んでくれてありがとうございます。
ジョーカー、めっちゃ強いですね、彼。
あ、スマブラの話です。




