非常に溟き闇共
まるで、ゾンビの様に起き上がる奴等の顔は、たった四種類しか用意されていなかった。
(…さっきのに合わせて、暗黒神テスカヨロトルと風神サーウィンも!?)
「たくさんいるよー?」「たくさんいるねー!」
感情の感じられない瞳が此方を覗く。
そして、神が動き出した。
地面に横たわる3人に目を向け、直ぐに目を前に向ける。
風神以外が走り出した。
風が強く吹いた。
土神に拳を突き立てるが、その土神は微動だにしない。
土の塊が胸に詰め込まれていたのだ。
どうやら貧乳だったらしく、土が虚しく服の隙間から零れ落ちた。
因みに、この地神シフテラ、普段から胸に土を詰め込んできたので、神話上は巨乳である事になっている。
まさに虚乳である。
切り返しの恨みが篭ったアッパーが、クレイズの顎に炸裂する。
負けじと、クレイズが土神の腕を掴み、周囲の神を巻き込む様に振り回した。
ーーーだが、風神の能力により、土神の腕が半ば程で切断された、おまけにクレイズの全身が鋭い風に襲われる。
土神の腕を蹴り飛ばし、風神の1人に直撃させる。
更にその足で思い切り踏み込みーーー跳んだ。
途中にいた暗黒神を踏み台にし、更に風神に追撃をかける。
頭部がまるでスイカ割りの様に弾けた。
…といっても、血は一切出ていないが。
「おねーちゃん、まあまあやるね。」
「思ったよりしぶといねー!」
風弾がクレイズに殺到した。
砂埃が巻き起こる。
「………」
クレイズが何かを投げ棄てた。
それを合図にするように駆け出し、水神に飛び蹴りを炸裂させる。
その隙を突く様にして、水神が何体も纏わりつく。
重なって聞こえる粘着質な音が非常に不気味だった。
豪華過ぎる燭台で、両手を拘束するスライムだけを焼く。
次は土神を、今度は胸に当たらぬ様に、上段蹴りを放つ。
首が変な方向に曲がっていた。
更に、背中から近付いていた暗黒神の鳩尾に拳を突き立てる。
そして、追撃をかけようとしている風神達にスライムを飛ばす。
「はぁ…はぁ……」
彼女の息が不自然に上がり始めた。
彼女は気付いていなかった。
ただでさえ少ない自分の魔力が、あのスライムに物凄い勢いで吸収されていたという事に。
「お!おねーちゃんまけそー!!!」
「やっぱり僕たちのほうがつよいねー!!」
体術が段々と、体術とは言えない乱雑な物へと変わって行く。
彼女は焦っていた、自身でも気付かないような、小さな小さな焦燥感が、もうどうにもならない位、大きくなってしまっていた。
そして、彼女はミスをしてしまった。
背後に近付く暗黒神に気が付かなかったのだ。
いつも読んでくれてありがとうございます!
最近、後書きに何書きゃいいか分からないんですよ。




