もう一つの戦場
どうも、早起きしたハクメイです。
ーーーつまりは、練が今、向かっている戦場の事である。
そこでは、既に戦いが開始していた。
「はぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
槍を振り回し、周囲の深淵を薙ぎ払う。
主人を背にして、メイドが息を吐く。
「すまない…本来ならば、主人である俺がお前を護らなければならないのに…」
蛍は、しんみりムードを醸し出すアルズを、一瞥し、鼻で笑う。
「ふぅ…珍しく弱気ですね、クソニート」
後ろ回し蹴りを深淵に決める。
脚が90度以上上がっているのに、スカートは絶対領域を保ち続ける。
これもきっと、メイドパワーの為せる技なのだろう。
「以前言いませんでしたっけ?戦うのは、私の仕事です」
「蛍……!!」
スマホが、落下する。
画面にヒビが入るが、そんな事は気にも留めない。
「貴方は、私に命令すれば良いのですーーー
ーー私の主人らしく、傲慢に、高圧的に、命令しなさいクズニート」
アルズは、大きな溜息を1つ吐いた。
しかし、表情はいつもの通り、明るかった。
「言っとくが、学生ってのは職業だぞ?知ってて言ってるんだろうけどなぁ……蛍ッ!!!奴等を蜂の巣にしろッ!!!」
「了解です、御主人様。」
槍を床に突き立て、引き抜く。
…なんと、刃が床に刺さったまま、柄がすっぽ抜けた。
しかし、これがこの武器の仕様であり、真髄なのだ。
「モード変更は面倒だと、言ってなかったか?」
蛍が、腰に柄を突っ込む、柄は地面に落ちる事無く、メイドパワーで収納された。
「面倒なだけです。
まぁ…この数を二人で相手するのも面倒ですがッ!!」
槍の刃の部分、諸刃のそれを一閃する。
深淵は真っ二つに裂かれるが、一瞬にして再生する。
「安心しろ、援軍が来た」
遠くで、砂煙が上がる。
「…あれが、援軍ですか?」
砂煙が晴れる、援軍は、たった一人。
馬から降り、空高く剣を掲げた。
「待たせたな!!私が来たからには安心しろーッ!!」
『私のイメージ崩れるからやめてくれる!?』
二人は、彼女等とは初対面だ。
でも、練と同じで、やばい奴だと認識した。
「何を言う!勇者たる者、常に勇ましくーーー」
『もう!到着したんだから身体返して!』
身体の持ち主は、片桐結愛。
そして、さっきからずっとお話しているのは、エティアル、騎士団長だ。
「…ええと、お騒がせして、すみません。」
『結愛!敵が来てるぞ!』
鬱憤晴らしの様に剣を振るう、破壊剣エクスブレイカーの能力が発動し、深淵は、またまた真っ二つになる。
「騒がしい、援軍ですね。」
「…練達が来ればもっと騒がしくなるさ」
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