四霊の巨神
屈んだ姿勢の巨人が立ち上がる。
圧倒的な質量の移動に、空気が押し出され、荒れ狂う。
「…うっわ、めんどくさ…やっぱり弱点とかあるのかな?」
弱点といえば、王道は頭や胸、その他には首や背中、全身に点在する場合もある。
『成る程……弱点か、それを狙うには……』
「小さい方がいいの!」
人の姿のまま、龍の鱗を全身に纏う。
龍人化だ、それに習い、ツクヨミも龍人化を行う。
「金子練!私達は弱点を探る!!注意を引き付けてくれ!!」
小さくなり、気流の影響を受け難くなった翼で空を飛ぶ。
巨人と比べれば、豆粒のような大きさだが、一瞬で雲と同じ高さにある頭部まで到達する。
「……はっ!カオス!スナイパーだ!モードチェンジ!」
空を高速で飛翔する二人に、目を奪われていた練が正気に戻る。
『もうやってるよ!』
銃身が先程の2倍程になり、どこか針を思わせるようなシルエットに変わって行く。
照準器は消え、その代わりに、白い線が練の右腕を辿る。
そして、白い線は練の目まで到達し、瞳を覆う。
これが、高倍率照準器の役割を担うのだ。
「…注意を引きつけるなら…狙うのは顔だッ!!」
巨人が、周囲を飛ぶ二人を払い除けようとする。
その瞬間、顔面を砕き、奥まで侵入する物体があった、銃弾、それもグレイプニルだ。
「うわっ…グロいことするなぁ…」
「だってパパなの」
巨人が、攻撃を受けた右頬を押さえる、見た目は丁度、遊○王の寄生虫パラサイドの様だった。
一方、龍の一族サイドがドン引きしている間の練の反応は…
「おっ!効いてる効いてる!魔力吸収に弱いのか?」
『鬼かな?』
なんと喜んでいた。
この男、勝つ為に手段を選ばないのではないのだ、ただ、鬼畜なだけなのだ。
突然、巨人が自分の頰を殴った。
グレイプニルが砕けた頰ごと空中に放り出される。
また、地面を掘り返し、頰にくっつけて再生した。
……ただ、注意を引きつけるという目的は達成できた。
巨人が、眼下の練を、土塊の光の無い目で睨みつける。
どうやら、怒っているらしい。
「嫌な予感がするんだけど…?」
巨人が、左腕を練に向けた。
左腕は、手の平に大きな穴が空いており、とっても不気味だった。
『ご主兄様……私も』
ぽちゃんと、左腕から水滴が落ちた。
嫌な予感が的中する。
左腕から放射される、圧倒的な質量の水。
「かっ!火事じゃ無いんだぞッ!?」
『早く逃げなきゃ!』
逃走の為、右足を動かす。
しかし、左足が動かない。
「んなっ!?」
影が、巨人の影が左足に巻き付いていた。
無情にも水は重力の力のままに、落下する。
いつも読んでくれてありがとうございます!!!
…文章力と時間が欲しいぜ。




