全身タイツって暑いの?
『ルミナ、後どれくらいだ?』
『もうすぐなのっ!』
風で声がかき消されないように、魔力による思念で会話する。
そして、答えの通り、終点はやってきた。
『パパ!降りるの!捕まっててーーーーーー!!!』
首の鱗を掴む、一瞬の浮遊感の後に、腕から脚が急降下した。
一瞬で雲を破り、着地の前に滑空、目の前に広がる光景に驚きを隠せない。
「……嘘だろ?」『……んな…!!』
空に、黒い亜龍、ワイバーンが飛び交っている、地上から、魔法や鉛玉が飛び交い、撃ち墜とす。
しかし、被害も相当なもので、所々崩壊したり、火が上がったりしている。
「……ルミナ!!!!!加勢だ!!!」
『了解なの!!!!』
高度が上がる、着陸の姿勢から、戦闘用の姿勢に変わる。
「来い!!カオス!!!」
声が届く、少女は剣となり、主人の腰元へと帰る。
『…っ!ご主兄様!!街が大変です!一刻も早く倒さないと!!』
焦るカオスを腰からゆっくり抜き、持ち直す。
「分かってる、落ち着け!」
そう言っている内に、街の上空へ到着した。
迎撃が早かったのか、来るのが早かったのか、前回よりは、崩壊していない街並みを見て、少し安心する。
「ルミナ、遠慮はいらない、本気でやっつけよう」
『了解なの!パパ!!』
ルミナが、今まで浴びてきた太陽光を、圧縮したブレスを吐き出すと同時に、彼は地上へと飛び降りる。
「行き掛けの駄賃だオラァ!!!!」
亜龍を、大剣を真下に振り下ろして、叩き落とし、着地のクッションにする。
ついでにトドメはさせたようだ。
「ッ!金子練!?」
知らない人間が俺の名を叫ぶ、知ってる奴かも知れないので、一応名前を訪ねておく。
「…誰ですか?」
「ティグ・イベルだ!!クラスメイトの名前ぐらい覚えーーー避けろッ!!」
これまで二言しか発していない奴の名前を覚えろと言う方が無理である。
避けろと、言うので回避行動を取る。
そして、そのまま背後を見てみれば、倒した筈の亜龍の内側から、コナンの犯人みたいな全身真っ黒マンが這い出ていた。
何十人も、何十人も。
『「……気持ち悪ッ!!!」』
「クソッ!私はこの雑魚とは相性が悪いんだ!!ここは貴様に任せる!私はあの亜龍を魔法で仕留める!!!」
…どうやら、あの亜龍は魔法で倒せば、全身真っ黒マンが湧かなくて済むようだ。
「…はぁ、自分の尻拭いは自分でしないとなぁ……という事は、アレをするしか、ないんじゃないんですか?」
『えぇ!?や、やめようよ!ほ、ほら!ティグ・………イバル君も雑魚だって言ってたし!!!』
なんと言おうが、練の笑みは止まらないのだった。
いつも読んでくれてありがとうございます!!!
焦るカオス!増える雑魚!練の秘策とは一体!?
ーーー次回、カオス『ピーーーーー』!!!
お楽しみに!!




