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異次元寄りの帰還

「クッ…ここは……」


お決まりのセリフを吐きながら目を醒ますと…少し肌寒い、真夜中だろうか。

周囲を見回せば、みんなが俺を見つめていた。


「お、おはよう…?」


「パパ!!パパッ!!!心配したのーーー!!!!!」


ルミナの突進!!!殺意の無いその一撃は、肋骨が何本砕けようと、ご褒美だ。

ルミナの有り難みを再確認した一瞬だった。


「本当に、心配かけてごめんなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」


ルミナを抱き締め、誠意が込められているかは不明な謝罪の言葉を叫ぶ。

とにかく、親子の感動の再会だ。


「いいえ、これは…私達の所為です」


シルフィアが俯きながらそう言った。


「…私達の喧嘩の所為で、ご主兄様に無駄な錬金術を使わせた……私達がいがみ合っていた所為でッッッ……!!!!!」


壁を叩き、無念さと過去に対する恨みを晴らそうとする。


「…パパ……ごめんなさい。」


みんなを見習い、謝る。

素直であり、純粋な行為。


「…私も……こんな時間に頼まなかったら……」


「うん。取り敢えず、カオスは着替えようか?」


「アッハイ。」


シリアスな空気を一瞬でぶち壊せるのも、彼の良いところなのだ。




「……え?錬金術の使い過ぎで死にかけた!?…うっわーーー………やっぱり俺のせいじゃん…迷惑かけてごめん!!!!」


予想外の言葉に固まる幼女達。

実際、錬金術の使い過ぎは、彼の面倒臭がりな性格のせいでもある。


「……いいや、錬金術…それのデメリットの説明をしなかった、私の所為だよ……本当に、ごめん…」


頭を下げる、勇気が必要だったであろう、誠意と謝罪を込めたその行為を


「…頼む、謝らないでくれ…錬金術を、俺に渡した事を……後悔しないでくれ…」


彼は、否定した。


「…俺はこの錬金術で、何度も…何度も助けられた…みんなに会えたのも…錬金術のお陰だ」


拳を、更にきつく握り締め、歯をくいしばる。


「勿論、錬金術は俺を苦しめた…だが、それ以上に…それ以上に!!錬金術は、俺を成長させてくれた…俺を……救ってくれていたんだよ。」



少し、静かになった、真夜中の風の音だけが響いた。



「……わかった、私も、後悔はしないよ。

君に、世界の運命を託す、その心の準備が整った。


ーーーだが、勘違いしないでくれ。」


彼女は人差し指を天に掲げる。


「君は、一人で戦うんじゃない。

みんなが、君と戦うんだ、運命は君にかかっているが、君一人に、重荷は背負わせないよ。」


彼女は、いや、彼女達が、にかっと、夜の闇を切り裂くように、笑顔になる。


「……あぁ……分かってる。


ーーーーところで、女の子の夜更かしはいけない!!小さい頃なら尚更!!!今すぐ寝なさい!!!」


さあ早く!!と、彼女等の背中を押す、一部、肉体の成長の見込みがない人達がいるが、気にしないのだ。

それに、これからは、錬金術を節約しなければならない、『寝る』だなんて言っていられないのだ。


「えぇーー!?パパー!!」「つもる話とかは!?」

「お、おさないでー?」「じゃ、じゃあねー?!!」


「……試練の世界は、どうだった?」


最年長の少女が、押し出されながら答えを求めた。

それに対して、「そうだな…」と、少し考えた後、彼は答えた。


「…まだ長い未来を担う、幼き少女の未来を…人殺しという汚れで、穢さずに済んでよかったかなー」

「いつも……いつも読んでくれてありがとう。

最後に……それだけを……伝えたかった…!!」


「死ぬなーーッッッッッッ!!!!!!!」


「え?死なんけど」


「死ねぇぇぇぇぇぇぇーーーーーーーーーッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!」

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