ロリコンとは、人の未来を担う子供を大切にする紳士です。
ショタコンもきっと紳士。
「…おい、逃げるだと?」
あれだけ恐ろしい相手だというのに、目の前の鬼畜は、尚も立ち向かおうとしている。
「だって!……倒せない…勝てない敵なんて……そんなのもう!!!逃げるしか…ねえじゃねえか…!!」
対してオレは、敵に、俺にすら背を向けている。
きっと、今のオレは、誰よりも格好悪い。
「それは、違う。間違いだ」
「ははは…魔王からは逃げられないってか?百も承知だよ…!!!」
オレの頰に、痛みが走る。
眼に映るのは、魔王ではなく、俺だった。
「今、俺がナルシストじゃない事を、人生で一番喜んだよ」
そのたった一撃は、攻撃の為ではなく、オレの目を覚まさせる為のビンタだと、数秒後に気が付いた。
「…お前……何がしたいんだよ…!!!!」
視界の横を人差し指が指し示す。
「お前に、世界を救わせたいんだよ」
羽と脚、両方に刃を撃ち込まれた魔王がそこに居た。
「お前は勇者だ、魔王を倒す存在、それだけの勇者、……ではない。
勇者としての勇ましさ、勝てない相手に挑む勇気、それこそがお前を勇者にするんだ。
つまり、お前は、もう…『勇気を手にしている』」
そうだ、オレは…コイツの強さの輝きに、自分の勇者としての輝きを忘れていた。
心に、勇気の灯火が灯ると共に、剣が一層明るく輝く、魔王をいま討ち滅ぼさんと、魔王の邪気を払うべく、太陽の如く輝く。
「ありがとうな、金子練、最高のプレゼントだったぜ」
剣を一度振り、構え、突撃。
魔王に斬り込む姿は正に勇者。
「ならば、その勇者パーティーとやらの俺は…」
「オノレェ…!!!!大人シくシネばイイモノをォォォォ!!!!」
怒り狂い、振り上げた爪が、そのままの勢いで宙に飛ぶ。
「勇者様のサポートでもしてやろうかな…!!」
「あんまりプレゼントしてくれるなよ…お返しが大変だろうがッッッ!!!!!!」
隙を突き、魔王という存在を屠る更なる一撃。
二人の乱撃に、再生の隙が全く無い。
「嫌ダ…幼女に……ヨウジョに殺さレルナンテイヤダァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!」
肉体が、存在が、切り裂かれ、無に還る。
「「あの世で、殺した幼女に詫びろッッッ!!!」」
最期の一撃が同時に決まる。
Xの字に4等分された魔王が、声に表せない断末魔を上げ消滅する。
「やったな!……あれ?居ない…金子練か、面白い奴だったな」
金子練だった記憶は、確かに残っている。
しかし、その記憶は、面白い奴だったと、自然に言えるまで、オレの中から消え去ってしまっていた。
「おーい!!!レンさーん!!!アレ?レンさんは?って違う!!こっちもレンさんだった!!って眩しいっ!!!」
一足遅れて、ドジっ子な神様が現れた。
日傘をこっち向きに差すのは、勇者形態が眩し過ぎるせいだろう、ちゃんと解除してから話しかける。
「よっ、アビス!この世界の金子練なら倒したし、あっちの世界の金子練はもう帰ったぜ?」
光が無くなり、恐る恐る日傘を退ける。
「……それは、良かったです。
でも…なんだか、不思議な人…でしたね!!」
「あぁ、本当に、不思議な奴だった」
いつも読んでくれてありがとうございます!!!
金子練、本当に不思議な奴でしたね!
(最終回)




