だいきらい
練サイドッ!!
そして気になる『アイツ』とは!?
「……ここが、アイツが居る場所か?」
周囲は全て真っ黒で、自分の位置が把握できない、取り敢えず横の壁に触れて、広さを確認し、恐らく廊下である事を理解する。
「はぁ…はぁ… はぁ…!!すみませーーん!!!」
奥の方でガシャーンという音が響く、花瓶か何がが倒れたのだろうか。
少し遅れて、廊下に灯りが灯った。
「びぅっ!……なんで………なんでこんな事に……」
奥から聞き覚えのない声が聞こえてくる。
……どういう事だ?
「えっ……えーっと……アビスさん?アビスさんのお宅でよろしいでしょうかー?」
俺を一番嫌ってるヤツ、きっとそれは彼女だろう。
だっていつもアイツのやりたい事妨害してるし、少なくともゼロよりは低いハズだ。
「は、はひ!!……びぅ…」
……「はい」って言ったよな?つまり、これがこの世界のアビスという事になるよな…?
「す、すみません。入りますよー!」
奥行きの分からない廊下を進む、一度足をぶつけてから、そこが行き止まりだと気付いた。
何故か反応する幼女レーダーの反応する方向に首を向ける。
「びぅっ!?……か、金子練……!!?」
…なんで俺は、殺人鬼でも見るような目で見られてるんだ?
そんな気は微塵もないんだが…
「……えっーと、アビスさん?」
「びぅっ!!ひゃい!!!」
これではもう、アビスでは無く、アビスたんだろう。
ルミナよりも幼く見えるフォルムで、地に着くほど長い髪は、まるで妖精を思わせる。
「…戦う気は、ないですよ!」
身体中どこにも武器を持っていないアピールをする。
しかしまだ、疑いは晴れないようだ。
「ほ、本当ですか?」
ゆっくり後退しながら此方を指差す。
どうにも癒されるので、ニッコリすると、
「びぅっ!」という声を上げて向こう側の壁へと逃げ込み、半分だけ顔を出す。
「どうして俺をそんなに恐れるんですか?」
「ちょっと待って下さい!」
すると、周囲の黒い壁が蠢き、俺に巻き付く。
「うおっ!?……ん?」
どうやら、懐を弄っているだけのようだ。
これだけ警戒心が大きいと…完全に妖精だな……
「…反撃しませんね……貴方は、本当に金子練なのですか?」
「こっちの台詞だよ!君は本当にあのアビスか?」
や、ヤバイ!良いお兄さんを演出しようとし過ぎて二人称がバグってる!?
「……あのあびす?…分からないので、こっちでお話ししましょう!」
チョロいというか、なんというか……
本当になんなんだ?この世界。
いつも読んでくれてありがとうございます!!
アビスたん…ドジっ子ですねぇ!
3/17、内容を変更しました。
すみません!練の最後の台詞は「あの世界」ではなく、「この世界」でした!




