過度な悪戯にご注意を
「……い、いやー…まさかクラスメイトに先輩が居たなんてーー!!アハハ…ハ……」
勘違いして、こんな感じになる時って、あります…よね?…え?無い?アンタスゲェな!
「ふふふ…そういう貴女は丸分かりでしたよ?知名度が低くて良かったですねー!」
怖い先輩だなぁ…みんながそう思っていた瞬間、トレイアが、クロノスを抱きしめた。
「本当に、よく喋るようになって。成長したね、ときちゃん…」
クロノスの目から、涙が零れ落ちる。
「つきちゃん………生きてて………つきぢゃんッ!!!」
二人が抱きしめ合う。
トレイアがクロノスの背中をゆっくり、優しく叩く。
「ふふふ…泣き虫は変わらないのね」
「つきちゃんのせいだよぉーー!!!」
……クロノスがやっとの事で泣き止んだ頃。
トレイアの表情は再び神のものとなった。
「自己紹介をさせて頂きます。私の名前はトレイア、試練の女神です。まぁ、今は悪戯の女神、という事になっていますが…」
床に置きっぱなしにしていた弓を収納しながら、彼女は話し始めた。
「…いえ、こんな事はどうでもいいです。早く処置をしなければ、彼が本当に死んでしまう」
やっぱり、話し始めなかった。
まぁ、常識的な判断だろう。
事実、練は死んでいるも同然なのだ。
再度、練の胸に手を当てる。
「『試練の女神の名において、この者に、試練を』……!!!」
その時、指先に電流走る!
勿論それは静電気では無い。
「あっそうか、今は悪戯の女神か。『悪戯の女神の名において、この者に、試練を』!!!」
今度は、ちゃんと成功した。
ちょっとだけ禍々しい魔法陣とかが見えるけど!
なんか練が魘されながらビクンビクン跳ねてるけど!
「…ヤバい、ちゃんとした試練じゃないかも…」
その場の重い空気が、絶対零度で凍りついた。
「………つきちゃん…それは、先に言おう?」
「…ご、ごめんなさぁぁぁぁぁい!!!!」
立場逆転と同時に、神の威厳を破壊し尽くされた瞬間である!
「話について行けないの」
「我々の分からない身内ネタは、正直やめてもらいたいものだ」
「あの〜カオスさん?そろそろキャラ戻しません?」
いつも読んでくれてありがとうございます!!!
佐藤 月希
/トレイア
クロノスの兄いの幼馴染。
結構昔(この世界が出来てから直ぐ)に転移したので、この作品の中では、1番の見た目詐欺




