帰宅。
キタキタキタキタキタきましたぁぁぁぁぁぁあああああ!!!!!!!!
「はぁ〜疲れた…」
リスキルのし過ぎで疲れたって、それ主人公のする事じゃないよね。ただの害悪だよね。
ーーーベットに入った直後だった、自室の扉が叩かれたのは。
「ん?…控えめな叩き方、さては貴様!クロノスちゃんだなぁ!」
扉を開けたクロノスの表情は、どういう顔をすれば良いか分からない顔をしていた。
無理矢理表すのなら、困惑と驚きとドン引きの顔だ。
「し、失礼します…練君、ちょっと手伝って欲しい事があるんだけど…」
「はいはいー!良いですとも!」
返答を聞く前に許可を出す。
…もし、「頼むから死んで下さい!」とかいうお願いならどうしていたのだろうか。
「えっとね、ちょっとここの所、弄ってくれない?」
彼女は懐から銀色のペンダントを取り出す。
そのペンダントは、まるで彼女の為に作られた様な、そんな雰囲気があった。
「ん〜こう?」
彼女の指が指し示す魔法陣の一部を、錬金術を使ってゆっくり動かして行く。
「うん!バッチリ!えへへ〜練君ありがとう!………ごめんね」
やっぱり、彼女の笑顔は人を元気にする。
さっきまで残り切っていた、リスキルの疲れは、完全に吹き飛んでいた。
「大丈夫だよ!寧ろありがとうだよ!元気出た!」
「……うん、ありがとう」
なんだか、表情が暗い、そんな気がした。
だから、話を変える事にした。
「……そうだ、クロノスちゃん、俺がもし、神様になるって言ったら…協力してくれる?」
きっと、彼女は、協力すると言うだろう。
……胸が、心臓が、魂が、痛いのだ。
錬金術を使う度に、今まで感じる事のなかった痛みが、魂が割れてしまうような痛みが、走るのだ。
彼女の笑顔が無いと…みんなの笑顔が無いと……きっと、俺は……俺は壊れてしまう。
こんなにも、狡くならないと、俺はもう、戦えない。
「……!…ふふっ…勿論!!練君の為なら…もっと……な、なんでも…え…えと……なんでもないよっ!なんでも!!」
やっぱり、彼女は可愛かった、両手を広げ、抱き締める、壊れない様に、壊さない様に、ゆっくりと。
「へ?………れっ!れんくっ!!!?は、ハレンチだよっ!!ヤバイよ!!?」
耳まで赤くなっている、顔は見えないが、きっと真っ赤なんだろなぁ…
「ごめん、ごめん…もう少し、このまま…抱き締めさせてくれないか?」
「…練君……練君はズルイよ………そんなんじゃ…絶対断れないよ…」
練君は、強かった、強いと思ってた、強く見えていた。
でも……こんなになるくらい…本当の練君は…弱かったんだ。
…確かに傷付いてしまう、人間だったんだ。
ーーー神サマじゃ…ないんだ。
いつも読んでくれてありがとうございます!
人は…強いが、意外と脆いのだな。




