鴛鴦夫婦
…のだが、しっかりと問い詰めた筈、なのだが…
『あの時は凄かったの〜』
「そ、そんなに褒めるなよ…」
いつのまにか惚気話にすり替わっていた
「…鴛鴦夫婦だとォ…!?こんな場所に居られるか!俺は自分のベットで寝させて貰うぜ!」
俺はこの領域に、まるで自分が勝ち組であるかのような空気に耐え切れなかった、錬金術をフル活用して眠った
翌朝、鳥の囁きで目を覚ました、実は錬金術で眠ると一瞬で寝て起きる…という意味のわからない状態になるので、ちょっと気分が悪くなるのだ
「あ〜気分悪」
そう呟き、思い出したのはあの惚気話ではなく、トレイアの話
「経験値…稼がないとなぁ…」
ベットから降り、軽く腕を回す、大きく息を吸って吐く、そして…
「分身!!!」
最初期に行った分身による経験値稼ぎだ、一人増えれば単純に考えて経験値効率は二倍、もっと増やせば増やした分だけ経験値効率は良くなる
「……ん?分身!!!」
しかし、残念ながら分身は発動しない、当たり前だろう、世界はそんなに甘くは無いのだ
「…あれ〜?おかしいな…分身しろっ!!」
…そもそも、『行動を一瞬で終わらせる』錬金術で分身できたこと自体がおかしいという事に彼は気付いていない
「分身分身分身分身分身分身ンンンンーッッ!!!」
ツクヨミに召喚された時、練は深淵との繋がり、アビスによって召喚されたという事実が上書きされたのだ
「…だめだ、諦めよう」
…実際、分身の能力は深淵の能力だった為、深淵との繋がりを失った彼は分身ができなくなったのだ
「自分の力でやらないと意味ないよな…よし!」
結局彼は分身するのを諦めて外に出た、ダンジョンに潜ってモンスターを根絶やしにするのだ
「来いっ!ダーク!ライト!」
「はい!『ご主兄様』っ!」
求めていた声は一切しなかった、代わりに、新しい人格の筈のカオスが返事をした
「……カオス…?呼んでないのにどうしてここに…」
「え?あぁっ!そ、それは……」
その瞬間、彼は彼女達が取得できるスキルの事を思い出した
ーーー軌道修正 三半規管 酔い耐性 完全融合 breakmode 攻撃力強化 魔法強化ーーーー
『完全融合』、そのスキルの効果は定かではないが…
「…お前…いや、お前達融合したのか…?」
いつも読んでくれてありがとうございます!!
ご主兄様ってなんなんでしょうな




