別世界というよりはパラレルワールドじゃね?
「僕が、君に、似ている…」
彼は考え込んだ、コイツも華蓮と同じ様にロリコン野郎と一緒にされたくないとでも考えていたのだろうか
「そうか…」
心の中では「なんだと!?死ねッ!このロリコン野郎ッーー!!」と叫んでいるのかも知れないと考えた事を数秒掛けて後悔した
「…やっとアビスの支配から抜け出せたか」
そして、その言葉の意味を理解するのに、数十秒も必要だった
「……何故、知ってるんだ?アビスだとか、元勇者だとかは、ランに話した事……」
…感の鈍い彼でも、漸く理解出来たようだ、目の前にいる、彼が別の世界の自分自身であるという事が
「そうだ、僕は別の世界の君だ、君が世界を滅ぼした時のストッパーとして、この世界にやって来た…けれど、どうやらオルタナティブは成功したらしいね、流石、僕の息子だ」
様々な何故が脳内を駆け巡る中、その答えを彼が示した
「アビスは人間の脆さを無くす為に、自分も含む家族に関する記憶を全て封印したんだ、…ほら、アニメとかでさ、「妹に似ている…」とか言ってトドメ刺さない展開あるでしょ、アレを無くしたかったんだね」
…いや、その事も気になっていたのだが…
「…そうか、というかその口調は…?」
僕って、まるで別人だ、俺はそんな事言わない
「これは…あの、崖から落ちたらしくて…それで記憶喪失に…」
崖落ちは生存フラグ、そういうのを聞いた事があるが、アレは本当だったんだな
「…ルミナは…?」
一番気になったのはそれだ、あっちの方では良き好敵手だったらしいが…
「……そうだね、『コレ』かな」
そう言って上げた拳は握られており、小指だけが異様に存在感を発揮していた、つまり、そういう事である
「…え?お前が言ってた親と彼女を亡くすって…」
「…うん、ルミナと、ツクヨミさん、ツクヨミさんは、僕の親代わりになってくれたし、ルミナは自慢の彼女だった…なのに…!なのに僕は…ッ!!」
彼のポーカーフェイスが崩れた瞬間、一緒に彼の涙腺まで崩れ落ちた
「…おいおい……」
しばらく、と言っても数分だが、彼は泣き止んだ
「…す、すまなかった、こんな…」
「いいって!お前のお陰でこの世界は平和のままだ!……アビスさえいなきゃな」
『全くなの〜!でもアイツがいないと私と嵐ちゃんは出逢わなかったの〜!!!』
聴き覚えのあるどころか毎日聴いている声だ、俺はランを問い詰めた
いつも読んでくれてありがとうございます!!
バットエンドは嫌いです




