宣戦布告
「感動の再会を邪魔するようで悪いんだけど」
その聞き覚えのある声に、できれば聞きたくなかった声にその場の全員が振り返った
「私の本体に限界が来たようだよ、じきにアビスが呼び出した奴等は魂に戻るだろう」
「…何故だ、何故自分達に不利になる事を態々俺達に教える」
その深淵は、目玉だけになった身体をぎょろぎょろと転がして、どうやっているのかは不明だが…話を続けた
「…私達、深淵は群体の生き物だ、ニンゲンを始めとした色々な生き物を食ったり寄生したりする、それぞれが命を持ち、それぞれに意思がある」
深淵は身体を忙しく蠢かせた、女性側は小さな悲鳴を上げた
「…私達はアビスが…少し、いや、かなり嫌いだ、アイツはやり過ぎた、私達は世界を支配したり、不老不死になりたい、などという欲望は所持していない」
「美味い物を食い、ゆっくりと生活していたいだけなのだ、しかし、アビスの所為で行動が制限された」
身体を禁止のマークに変える、抑揚の無い声が何と無く怒っている様に聞こえた
「…私語が過ぎたな、大切な事だけ言おう、アビスが取り込んだ総ての力に馴染むのは後1ヶ月と言ったところだろう、その間に、アビスを倒す何らかの方法を見つけーーーー」
言い切る前に深淵は消えた、時間切れか、アビスに消されたのか、どちらかは分からないが、やる事は1つだ
「強く…ならなきゃいけないのか」
いいえ、その前に情報の伝達です
夕日に照らされて、紅く染まったこの草原では、さっきまで戦いが有った、だが、その面影は何処にも無い、有るのは傷だらけの戦士だけである
「…どうして深淵達は突然消えたんでしょうか?」
「さぁ…金子君がどうかしたんじゃない?」
事実だが、風評被害も甚だしい、きっとこの世界で変な事が起こると大体金子練の所為にされるのだろう
「なぁ、エイジ、親父と母さん…帰って来ないと思うか?」
「あぁ、突然引いたのには意味があるはずだ、きっとこの戦いには次がある、僕達がするべき事は、勝つ方法を、助ける方法を探す事だ」
差し出された手を掴んだ瞬間、物凄い速さで拉致された、恐らく行き先は【製作室】だろう
あっ、金子練だ!……誰かがそう言った、それが反響して、色々な声が混ざり合った
「……これ、俺で良かったのか?祝福されるべきなのは…アイツじゃないのか?」
「…ご主兄様、割とこういう事多いから、これくらいいいでしょ、取り敢えずみんなを落ち着かせた方が…」
言い切る前に彼は剣を掲げて言った
「我々は勝利した!!!しかし、これから先、さらに敵は強くなる事だろう!!!その時、頼りになるのは貴殿等の力だ!!!我々の勝利の為に!!!!」
周囲はしんと静まり返って、直ぐにザワザワとした、そしてゆっくりと拍手、歓声が増えていった
「…えーと、練さん?なんですか?これ?」
「勝った時にこれを言っておけと、言われたのでな」
…台無しである
いつも読んでくれてありがとうございます!!
練さん(アナザー練)は戦闘以外ではちょっとだけ頭が弱いです、でも根はいい子なので!みんな仲良くしてあげてください!!




