やっぱ強い
「ば、馬鹿な……ワープ先を予知したとでも言うのか!?」
そんな事は事実、不可能だ、経験がそう言う
「風が動いていたのでな、感知は容易かった…ワープ、とは違うだろう?高速移動に近い何か…か?」
だが、事実、彼は知覚していた
「…ハズレだ、少なくとも高速移動じゃない」
そして、この状況、もし攻撃を行ったとしても反撃は確実…それに…
「錬金術が……バグっている?いや、奪われているのか?」
さっき錬金術を使った時、妙な喪失感があった、おそらく錬金術を発動すればする程、アビスに錬金術を奪われてしまうのだ、発動出来るのは…後8回ぐらいだろう
「貴様…ふざけているのか?…まさか俺を哀れんでいるのでは無いだろうな?」
剣が首に添えられた、その攻撃はさっきの数倍程速く、凄まじい攻撃だった、だが、これでもまだ本気では無いと、『戦い』の内ではないのだと理解できた
「『勇者』とは!!!勇しく戦う者の事だ!!どのような状況だろうと、己の得物が無かろうと!相手が格上であろうと!!!お前も俺だと言うのならば!!正々堂々と!俺と戦えッ!!!!!」
胸倉を掴み上げて彼は言う、そして、俺は理解できた、その必死な瞳の意味を
「…貴方は……優しい人だ」
「…なんだと?」
胸倉を掴む力が更に強くなる、構わず話を続ける
「貴方は、戦った上で負けたいと思っている、そして負ける事が償いだと、そう思っている」
「馬鹿な事を抜かすなッ!!!」
剣を手放し、両手で掴みかかる、けれどまだ話せる
「貴方は優しい!!優し過ぎる!!俺みたいな馬鹿よりも、よっぽど命の重みを知ってる!!」
「黙れッ!!!!貴様に…貴様なんぞに俺の何がわかる!!!」
「わかる!!全部じゃない!でも…俺はアンタの思う通りには勝ってやらない!アビスの思う通りに負けてもやらない!!」
身体が床に叩きつけられる、肺から空気が押し出される
「全てが上手く行く、そんな物語は幻想だ!!貴様が貴様自身の力で俺と戦うと言うのならば!!俺はそれを真っ向から打ち砕く!!!」
「…それでこそ……だっ!」
彼が落とした剣に触れる、今の俺ならば、本気で彼を倒そうと考えるのならば発動するはずだ!!
「『装備』だッ!!!」
錬金術は発動した、数多のプロテクトを一瞬で貫通した、結果、その破壊の剣は俺の手に有った
「…貴様…!!貴様は最初からそれを狙っていたと言うわけか!!!」
自身の置かれたその状況、それに反して彼の表情は笑顔そのものだった、いいハンデだと、そう思っているのだろうが
「『転移』……エクスブレイカーなんて物騒な物…俺には少し重過ぎるかな、俺にはやっぱり、愛嬌のある可愛い剣がお似合いだ」
いつも読んでくれてありがとうございます!!!
年末ですねーー…(しみじみ)




