「超えられない壁」
「……リカート・ヴィルドだ、アイツが親である事は変えようの無い事実だがな」
そう吐き捨てる様に言う、自身の父親と比べられるのにうんざりしているのだろう
「そう、貴方はリンシャル・ヴィルドの息子、只の…ね?貴方は父親を超える事はない、私を倒したければお父さんでも呼んで来る事ね、その頃には…既に貴方の生徒の命は無いでしょうけど」
彼女にとって、彼が来る事は予想外だ、しかし、表情の変化は無い、何故なら彼は彼女の中ではちっぽけな存在だからだ
「…何を勘違いしている?父親を超える事はない…と、今そう言ったか?」
その瞬間、彼女は理解した、ハッタリだと、何らかの手段で自分の父親に連絡を取り、その時間稼ぎの為にこんな行動を取っているのだと
「へぇ〜そうですか、なら止めてみなさい、私の事を!」
彼女は先程の戦いで学習した、相手に策を講じる時間を与えてはならないという事を、故にこの余裕のある瞬間、そこに横たわる人間のトドメを刺そうと駆けた
「なっ!?だから話を聞かないヤツは嫌いなんだ!!」
一足遅れて悪態を吐き、急いでアストルを担ぎ上げた、その後彼がとった行動はーーー
ーー何もしない事だった
彼女はそれを疑問に思いはした、しかしそれはほんの一瞬だった、動かない彼は直ぐ様彼女の絶好の的と化した
ーーーハズだった
彼は突然、後方に大きく吹っ飛んだ、何もしていないのにも関わらずだ
「一体何が……何をしたッ!」
突然のその状況に戸惑う様にそう告げる
「何もしていない、敢えて言うなら何かしたのは貴様だな」
見れば彼は吹っ飛ばされた姿勢のまま空中に静止していた
「スキルの発動も、魔力が使われた痕跡も無し!?……一体貴方は何者なの…?」
そう問うと、彼は綺麗に床に着地しその答えを出す
「リカート・ヴィルド、それでしかない人間だ」
そう言いながらアストルに回復魔法を掛ける
「どうやら…先に貴方を始末した方が良さそうね…!」
数十本の土槍が地面から突き出た、それはまるで剣山の様だったが、数十本、それだけだった事がまだ彼の事を下に見ている証拠だった
「無駄だ」
数十本の土槍そのすべてが彼の、彼の教え子に突き刺さる前に、彼の身体が動く、まるで見えない力にでも引っ張られている様に
「まさか……自動で回避を行っていると言うの?」
「△だ、しかしお前にこれ以上教えてやる義務は無いだろう、お前は俺の生徒では無いからな」
いつも読んでくれてありがとうございます!
もしかしたら…なんか違うぞ?とか思った人が居るのではないでしょうか?
実はiPhoneを修理に出していて、この小説はAndroidで仕上げています、来週にはiPhoneが返ってくる!…といいなぁ…




