運の尽き
……頰に水滴が落ちる、ねずみ色に変わった空を見上げる、空はまるで不運を告げる様にゴロゴロと唸る
「さぁて、そろそろ飽きてきたわねぇ…どうしてやろうかしら、魂だけを喰って傀儡として使ってやろうかしら?浮かばれないでしょうねぇ…まぁ、喰べちゃうからどうせ浮かばれないんだけどね!!アッハッハッハッハ!!!」
あぁ、きっと彼女は心の底から笑っているんだろう、何故か、不思議と僕も笑ってしまった
「は………は………ゴホッ……ゴホッ………」
それは笑いと言うには少々ーーいや、かなり弱々しかった、そのせいでまたお母さんを心配させてしまった
「あぁ………アストル!……うぅっ……ぅぅ……」
あぁ、母さん泣かないで…僕は大丈夫だから…
「悲劇ぃ〜って感じ、イイネ!…うーん、精神が身体に引っ張られてるのかな?最高に面白いよ!ねぇ、どんな気持ち?愛する息子になーんにもしてあげられない気持ち〜!ははっ!はははははっ!アッハッハッハッハ!!!!」
もう、大丈夫だから
「……ん?これは……雨?」
どうやら気付いていなかった様だ、予想外、けれど問題とは考えていない様だ
「雨……雨っ!?」
「はは…ははは………」
軽く話せる位には身体が回復した、と言うことを理解した、それと同時に彼女は言う
「笑って…いる?……まさか笑っているの…?この絶望的状況で……ははっ…精神の方が死んじゃったかなぁ…?」
「アストル…貴方…まさか今まで……!」
お間抜けな彼女はまだ気付かない、いや、気付けなかった!僕の本当の目的に!
「僕の………勝ち……だ……!!」
「何を……」
突然、空から、まるでダムが決壊する様に、雨が降り注いだ
「なっ!?」
アビスは最初こそ驚いていた様だが、それは直ぐに余裕に変わった
「はっ…この雨が貴方の作戦?だとすれば相当間抜けね、こんなので私に貴方が勝てる訳が無いでしょう!?」
「いいや!………僕の勝ち…だ!」
最初の方は何ともなかった筈の人形達の形が変わって行く、より歪に、身体がドロドロと溶けて行く
「そっそんな!?…まさか私の動揺を誘うのが目的?ならば動揺はしない!…いいえ、そもそも人形なんかに頼らずに私が直接引導を渡せば良い話…そうでしょう?」
塔が天辺から流れ落ち、形を失った
「はははっ……そのトドメ、間に合うかな…?」
いつも読んでくれてありがとうございます!
うわー天候まで操れるのかー強いなーアストル君




