蒼き灯火
「おい!アイツは何だ!アビスか!?何かの能力を持っているのか!?」
階段を駆け上がりながら後方の少女に問う
「ええっと…一気に言わないで……闇の神…らしいです、よくわかんないけど」
人見知りの特徴を全力で発揮して行くハクア、ところでこの階段はいつまで続くのか、答えは作者の気がすむまでだ
「他には!!」
「攻撃が効かない!アイツが言ってた!!」
今までのも似たようなもんだろ……そう考えつつ倒す方法を考える
「ここまで来れば大丈夫…かな?」
「…そうだな」
「……酷い…どうしてこんな事になったんだろう」
窓の外を見渡して言う、外は水浸し、流されている物と人は浮いている物と沈んでいる物があった、必死にもがく人、それを見ている事はどうしても出来なかった
「………どうしてを奴等に求めるだけ無駄だ、アイツらが殺そうとするなら…殺される前に殺すしかない、奴等は殺すまで止まらない」
その言葉には覚悟とも取れる言葉だったが…彼女には一種の諦めにも聞こえた、だからこそ彼はここに来ようと思ったのかもしれない、しかし、未来しか視ることの出来ない彼女には、それを知る事は出来ない
「…アイツは?」
「なんだ?どうした?」
「幾ら何でもここに来るのが遅過ぎない?何をしてるんだろう…」
ーー確かに、来るのが遅過ぎる、そう考えた時、彼女、彼女の影の形が一瞬変化した、その瞬間、総てが繋がった
「そこだッ!!!」
再度身体に焔を灯し、影へと攻撃する、影の中に居るであろう闇の神とやらに
「ふん……」
直前、彼女の影から人影が飛び出した、拳は軽く地面にヒビを入れるだけに留まった
「チッ…外したか…!!」
「果たして…外した、それだけで済むかな?」
飛び出した影がそのまま人の形を形どった、しかし、驚いたのはそこではなかった
「うぅっ!?ゲホッ!ゲホッ…!!」
胸を押さえてハクアが蹲った、腕を組む闇の神を睨みつける
「貴様…コイツに何をしたァ!!!」
「何を言っているのだ?今攻撃したのは貴様ではないか、やはり人間は直ぐに他人に責任を擦り付ける、まぁ我は神だがなぁ!!」
……両者、戦慄した、防衛手段のない攻撃に、同士討ちの可能性に、そして…
「また…まただ……また私が足手まといに……」
思い出すのは巫女であった自分を守って死んだ者達、あの時ほど自分に戦う力が有ればと思った事は無かった何度後悔しただろうか、彼等が何度も夢に出てきた、いっそのこと自分が死ねばと考え、その度に死んだ者達の顔が浮かんだ
「どうして…どうしてっ!」
「どうしてじゃねぇ!!!足手まといだとぉ?違う!お前は自分が足手まといだと決め付けているだけだ!お前は強い!だがそれを活かしきれていない!考えろ!その時間ぐらい俺が稼いでやる!!!」
「ふん…愚かだ、弱者の嘆き程つまらんものは無い、安心しろ、足手まといにならぬ様にしてやる、命を奪うことでなぁ…!」
いつも読んでくれて、ありがとうございます!
(主人公がいないお陰で)熱い展開ですね!




