真実
「へぇ……廻魂神なんて存在しない…じゃあ私は何なのかしらねぇ〜?」
圧倒的な威圧感と共にそれはそう告げた
『深淵……この世界に存在するハズの無かったイレギュラー……それ以上でもそれ以下でもない…!まぁ、そんな事はどうでもいい、一体何人の神を喰ったの?答えなさい!!』
神を『喰った』アストルはその言葉が数秒間理解出来なかった、その間にも槍の攻撃は継続、考える暇は無かった
「うーん……一から先は数えて無いわ、食べた物の事なんて一々覚えてられないもの、神を食べたって事実だけでいいんじゃない?」
まるでどうでもいいと言う様に肩をすくめる、本職である地神が血を吐き出すレベル以上の操作を片手間にできるという事実が深淵の強さを感じさせる
『貴女……クッ!許さない……!!』
「でもその身体じゃあどうしようもないわねぇ?そこの逃げ回ってばかりの頼りなーい息子さんにでもお願いする?あはははははははははッッッ!!!!!」
槍を避け、人形を破壊する、それをするだけで手一杯の息子を見て、神でありながら一人の母親であるサーウィンは涙する、どうしようも出来ない自分の不甲斐なさに、運命を自分の息子に託してしまった事に
「…くそ………どうしようも出来ない……」
『ごめんなさい……私が力を託さなければ…こんな事には………』
「そうねぇ!貴方なんて力を持っていなければ…只のゴミよ、自覚しているでしょう?」
その言葉にアストルは歯を食い縛る、悔しさに、非力さに、そしてーーー自分の不甲斐なさに
「グハッ!……ごめん……なさ………」
血を吐き出し、気を失った、力を失った風は非情にも彼をそのまま大地へと叩きつける
『あぁ………ぁぁぁぁぁああああああああああああッッッッッッ!!!!!!!!!!!』
「あはははッッッ!!!!!あははははははははははははッッッッ!!!!!!!遂に限界が来たみたいねぇ!!やっぱりそんなのに能力があるのは間違いだと、そう思わないかしら?だから私が頂くわ…!」
『……ッ!お願い!アストル!立って!今だけでいい……立ち上がって……!お願い……だから……死なないで……!!!』
制服は血みどろ、瞳は生気を失っている、立つ事すら出来ない事、それを本人以上に知っていた、それなのに言う、立てと、涙を流す事すら出来ない身体で、息子の体温すら感じられない身体で、立てと、しかし、願いは届かない
「無理に決まってるよ……ほら、『気体操作』も私に使ってもらいたいってさ!!」
雫がアストルの頰に落ちる、全ては深淵の望むままに進んでいた
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どう?アビスって強い?(感覚麻痺)




