これまでにない危険さ
「さて…バラバラに逃げる様にも通告したし、これで深淵の被害を…抑えられるかな?」
大きく風が吹き荒れる中、彼は国の中心、王城の天辺から街全域を見渡した、あちこちから火の手が上がっており、逃げ惑う人々が見えた
「ここからなら…狙撃風」
何十倍にも圧縮され、鋭い銃弾と化したそれは一瞬にして空を切り、人々を追いかけていた深淵の足元に正確に命中する、そして命中が確認される前に、次の弾丸を発射、その後、数分に渡り断続的に破裂音が響いた
「ふぅ……(…よし、かなりの人は外に逃げられたな、後は建物に立て籠もっている人位だろう)」
彼がため息を吐いた時、明らかに違う破裂音が、空ではなく、地を揺らし、響いた
「………!?」
絶句した、あまりの驚きに目を見開き、口は半開きになった、かなり馬鹿っぽいが…この光景を見れば誰だって、そうなってしまうだろう
「そ、そんなのアリですか?」
山が立っていたこの光景を表現するのに最も適した言葉だろう、奥を見れば有った筈の山が丸ごと無くなっていた
「アレも…深淵…なのか?」
そう思うのも仕方がないのだろう、これまでの深淵といえば、辛うじて人の形を残していたり、少なくとも生き物ではあった、だが、目の前のアレはどうだろうか、山そのもの、どう見ても生き物には見えない
「止めるしか…ないのか」
いや、止めなければならないのだ、止められなければ、アレは全て壊し尽くすだろう、少なくとも今は彼にしか止められないだろう
「行くわよ、先ずはこいつらから始末する」
水に値するであろう女性は目を奪われそうな程の美貌に笑みを浮かべながら言葉を放った
「ふむ…前哨戦というやつか、ふん、先手はやろう、来るが良い」
闇に値するであろう男性は龍をも殺せそうな威圧感を携え言葉を放った
「前哨戦の意味知ってる?ここでやられる奴が使うセリフじゃないよ?とっとと倒されなさい!」
いつのまにか抜き放ったナイフを神に向け、自信満々といった表情を崩さない、流石未来の女王と言うべきか、それとも無謀というべきか、未来はまだ見えない…
「ちょっと…負けちゃう未来が見えたんだけど…どうしよう!まだ先見で見えてないから確定してないけどー!」
残念、ここで格好をつけさせないのが我が小説の特徴である、出る杭はきっと打たれたがりなのだ
「ハハハ!ラノベ見てえな台詞、残念だなぁ?それがこの世の理不尽だ!壁が無い人生は楽だ!だからーーー」
「ーーー生きる意味を見出す為に最高の壁をブチ破る……まぁ、それをするのは私ですが、ニートマンはそこで大人しくイベ周という名の壁を反復横跳びでもしてろ」
言葉を遮った彼女のスカートから轟音が鳴り響く、現れたのは明らかにスカートよりも長い槍だった、そしてそれを取る為には………簡単に言えばパンチラした
「ハハハ!!これがこの世の理不尽!カッコつけは滅びる!」
いつも見て…くれてありがとう!
ホトトギス
いやー理不尽って怖いなぁ…
↑犯人




