一方その頃…
一方、こちらは練サイド
「あっさり…やられた…だと?ちまちまグサグサやらないと倒せないアビスを一瞬で…」
「ちまちまグサグサ…え?……えっ…そんなに再生力強いの?」
…え?これは……い、嫌な予感…!
「…ヤベェ…魔力ケチってウィンドで倒しちゃった…」
その言葉が辺りに響く…瞬間、嫌な予感は的中する
「もう…学習したぞ…もう近寄らせない…胸のドクドクもいっぱい作る…もう負けない…!」
再生し始めた肉体のそこら中から触手が生え、更にそれが歪に膨らみ、鼓動する
「…めんどくせえ…なんで心臓爆発して生きてんだ……おい、お前!」
そう言って俺を指差す
「金子練、練でお願いします」
「金子!!終わったら書類の片付け…頼むわ」
金子って久し振りに呼ばれたな…フルネームはよく呼ばれるけど…
「って!何気に死亡フラグ立てんな!」
その言葉に、パートは…ニヤリと口を歪める
「安心しろ、死亡フラグが立ったのは……アイツだ」
その一瞬、姿が消えると共に、現れたポートが持っていた物は沢山の節目に分かれた長方形だった
「じゃあ…行くぜ?」
次の一瞬、ポートの両手に現れたのは鋭い針の様な物、それをあらぬ方向、真下に投げる
「何やってんだーッ!!下手くそかッ!」
その鋭い一撃はポートの足元に刺さる
ドスリ、と鈍い肉が裂かれる音が聞こえる
ボトリ、とビチョリ、2つの音が鳴る
「なっ!?…えぇ!?」
落ちたのは触手が一本、根元からと出来た心臓の二箇所を貫かれた姿で地面に落ちた
「ギャァァァァ!!ドクドク!僕のドクドクがァァァァァ!!!」
その何処までも哀れな敵に…一本、指を立てる
「1分…1分以内にお前を倒す…」
その一瞬、次の一瞬、更に次の一瞬、その一瞬一瞬毎に手元に、足元に、その一瞬だけ鈍く銀色の光が射した
「う、うわぁァァァァァ!!!!」
手足の動き一挙一挙の全てに光が射す、そして完全に効率化されたその動きはまるで踊っているかの様だった
「…ゲッタンかな?」
時間にして一瞬、だが、その一瞬で身体中から伸びていた触手は全て最初の触手と同じ目に遭っていた
「さ、さいさせい!再生をッ!!!」
一瞬にて全ての触手を切り裂かれた深淵は肉体を再生させようとする、がその無数の触手を同時に再生させようとするせいで再生の速度は目に見えて遅かった
「お前は一瞬より遅かった…だから負けたんだよ」
瞬間移動と共に蹴りを放ち、深淵を空中へと放り出す
「とっとと…眠れッ!」
やはり、一瞬、その瞬間に現れた鈍色の光が傷口に、身体中に、心臓に、脳に、あらゆる所、全てに突き刺さった
「再せ…い……死にたく………な…い…」
「悪いな、1分以内、俺の勝ちだ」
いつも見てくれてありがとうございます!!
ポートは神でない者の中ではトップクラスに強いよ!




