G並みによく見かける深淵
「さて、ギルド本部からこいつに請求しなきゃなぁ〜手続き面倒だな〜あっそうだ、おい!勝負しようぜ、俺が勝ったらお前に手続きをしてもらう! 」
…お前?何の事でしょ〜…こっちを思い切り指を指しているという事は…まさか俺の背後に誰か!?
「チッ…お前だよっ!」
彼は確かにこちらに向かって銅貨を拾いそれを投げた、しかし、驚く事に攻撃は背後から来た、結果…
「うおっ!?」
衝撃に背を押されるようにして俺は姿を現した
「さあ、勝負しようか、このコインが床に落ちたらお前の勝ちでいい」
説明が雑になってる!?面倒くさがりっぽいもんな…
「嫌だ、そもそも何で俺が勝負しなきゃいけないんだよ、俺に得ねーじゃん!」
すると突然、上から声がした
「得ならあるぜ、勝った方が生きる」
そして、近くに着地した…いや、誰だ!?…いや、タイトルで判るだろうけどね
「またお前らか!よくも懲りずに湧いて来やがって…ゴキブリかなんかかな!?」
すぐ湧く、ウザい、キモい、黒い、正にゴキブリである
「おい、その例えは…」
「光栄だなぁ!あのSランク冒険者相当の強さを持つというゴキブリに例えてくれるとはな!」
俺は固まった、それを見た最高責任者殿はやれやれ、といった感じで顔に掌を乗せる
「…え?ゴキブリ…ゴキブリ…え?ゴキブリってあのゴキブリだよね?」
「こっちのゴキはあっちとは違う、なんか強いがこっちのゴキだ、奴等はあっちとは別の進化を遂げた、攻撃性の高い牙を持ち、高いスピードと米粒のような小ささに体表が迷彩になっている、更には常に群で行動する、大きな群れになった時は…Sランクを超えるとされる、しかも経験値も少なく旨味が無い、小さいから素材にもならない、な?恐ろしいだろ?」
…顔面蒼白、正に練はその状態にあった、例えばゴキブリがゴキブリに群がる姿を…想像しない方が良い、しちゃダメだ…!観ると最高責任者殿もゴキには良い思い出を持って無いらしい、真っ青を通り越してゲロっていた、何があったんだ…
「なんだか判らんが…貴様らは俺が仕留める!」
こいつは…まだマシか
「ところで…なぁ、アイツは何なんだ」
あっそういえばこいつアビスの事知らなかったな
「えっと…再生能力と神の耐性を持っている、アビスという人類の敵だ」
強ち間違いではない、完全に正解である、というかまだこいつらの目的がわかんないんだよな…
「了解、やべえなぁ…」
それを聞いたポートは自身の発した言葉に反し、ゆっくりと口の端を上げる
「勝負だ、来いよ」
その言葉から戦闘が始まる
「ハァッ!…ハァ?」
しかし、一瞬で戦闘は終わった、ポートの手がアビスの心臓に相当するであろう器官を貫いていた
「…この能力…瞬間移動か!?」
瞬間移動、そうとしか思えない距離を一瞬で詰めていた
「ハァ!ハァ!ハァ!再生しないと…再生…しないと…!」
アビスは知らなかった、心臓がどれだけ重要な器官か、否、心臓そのものすら知らなかった、しかし、本能が今この瞬間が彼に教えた
「無理だ、再生先には俺の手がある、戦いはもう終わりだ…黙ってこのまま死ね」
しかし無駄だった、傷口から再生するという事は、逆に言えば、再生するには傷口が必要だと言う事、ポンプを失った血液はその場に停滞するしかない、しかし、停滞するのは血液だけでは無かった
「あ、あぁ…ァァァァァぁぁぁぁぁあああアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!?!?!!!??!!」
人間を含む全ての生命は血液中に高純度の魔力を持っている、高純度の魔力が停滞した結果、魔力同士が結合し魔石と化した
「これは、この魔石はお前自身の魔力だ、つまり…わかるな?…ウィンド」
アビスの体内の魔石中の魔力がウィンドの魔法により風へと変換される…つまりはーー
「じゃあな、瞬間移動」
ーーーバァン!!と、まるで風船に針でも刺したかの様な音が周囲に広がった
「ぁあ…あ………」
「雑魚が、俺の人生みてぇに面白くねぇ奴だったな」
いつも見てくれてありがとうございます!
何故、1匹だけを練に寄越したか、それは勿論…




