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ケーキに想いを乗せる力

作者: うまひ餃子

 ふと夢にみたのでそれを弄りまくって短編にしました。

 それでは、どうじょ(/・ω・)/




 ケーキに想いを乗せる力



 こんな能力を持つ人がいたとしたら


 これはそんなお話。






 「リア充、ターヒね、暴発しろッ!」


 そんな呪詛をブツブツと世界に撒き散らすは一人の男性がいます。


 彼の奮闘空しく、今日も世界は幸せに満ちています。


 しかし、彼に向けられる目は中々手厳しいものです。


 それはそうです、多くの人が行き交う道でブツブツと小声で明らかに外聞好ましくないことを呟いているのですから。


 社会はそんな彼に優しくしません。


 けれども、彼はそんなこと気にしません。


 希望ヶ丘 繋


 彼がそんな大層な名前を持っているとは周囲の人たちには関係のない話なのでしょう。


 ちょっぴり私は悲しくなってきました。


 あ、申し遅れました。私、語り部と言います。どうぞよろしく。


 今日は一緒に彼を観察しましょうね。


 「チッ、恋愛脳どもはこれだから」


 また何やらブツブツ言っているようですね。


 負け犬の遠吠えは勝者には痛くも痒くないのです。


 街を歩くカップルたちは彼のことなど視界にすら入れていないのです。


 だって、幸せですからね。


 残酷な気がします。


 敗者は上を見上げますが、勝者は下を見ることなどないのですから。


 「ここか」


 彼はどうやら目的地に着いたようですね。


 そこは俗に言う喫茶店です。


 独身貴族が入るには少々肩身が狭いのでは?


 はてさて、一体何の用でこんな場違い甚だしい所にやって来たのでしょうか。


 「予約していた岡田です」


 「岡田様ですね、お席の方ご案内いたします」


 岡田?


 どうやら彼は偽名を使っているみたいですね。


 それにしても喫茶店で席を予約するとは珍しいですね。


 彼は席に着くとコーヒーを注文しました。ブラックです。


 独り身の寒い身空にホッとする温かさですね。


 おや、何やら女性がやって来て彼のちょうど真後ろに座りました。


 「覚悟はできたか?」


 彼はそう呟きました。


 「はい」


 短く、その女性ははっきりと返事をしました。


 彼は溜息のあと「ならいい」とだけ言いました。


 これから何が起こるのでしょう、私ワクワクします。



 

 少しして女性の元に一人の男性が現れました。


 その表情は笑っていますが、何処かぎこちないです。


 「待たせた?」


 「大丈夫、それより何か頼みましょ?」


 二人は親しい仲なのかと勘繰りましたが、女性の方は何と言うか余所余所しさを感じます。


 女性はホットミルクとガトーショコラを男性はコーヒーをそれぞれ注文しました。


 注文してから二人の会話が始まりました。


 「なぁ、考え直してくれないか?」


 「私の考えは変わらないわ。もう決めたの」


 どうやら別れ話のようです。


 どうしてこのような話は人の好奇心を掻き立てるのでしょうね。


 構図としては女性が別れたがっていて、男性がそれを引き留めているといった感じでしょうか。


 不謹慎ですが、私、ワクワクします。


 「この前のことが原因なんだろ?悪かった、この通り」


 男性は頭を下げます。どうやらこの別れ話の原因は男性の方に原因があるようです。


 「分かってない。全然分かってないよ」


 女性の方は悲し気です。


 「お、お待たせいたしました」


 そこに注文の品を持って来た店員さんはタジタジです。


 そりゃあ気後れしますよね。


 品を置くと、ぴゅーっとバックヤードに戻って行ってしまいました。


 今頃、仲間内で邪推合戦に勤しんでいるのでしょう。


 さて、話を戻しましょうか。


 それから、話は平行線を辿りました。


 許してくれと言って聞かない男性とそれを全て拒否する女性。


 堂々巡りとは正にこのことなんでしょうね。


 男性は自らの浮気が原因と思い必死に頭を下げています。


 出来心だった、つい魔が差して、本気じゃなかったなどと容疑者は自供しています。


 「じゃあ、これを食べて」


 唐突に女性はフォークに刺したガトーショコラを突き出しました。


 「許してくれるのか?」


 何をそう思ったか男性は嬉々として尋ねました。

 

 まぁ、仲直りの「あ~ん」だとでも考えたのでしょう。


 「いいから食べて」


 そう女性は言いました。


 男性は疑うことなくそれを口にしました。


 するとどうでしょう。


 男性が驚きの表情を浮かべました。


 何が起こっているのでしょう。


 「こ、これは?」


 「伝わった?私の想っていること」


 そのガトーショコラを食べた男性を襲ったのは男性と女性の思い出の数々でした。




 学生時代の告白に始まり、初めてのデート、彼に初めて料理を作った時のこと、初めての旅行、それらが溢れ出ようかと言うほど男性の頭を埋め尽くしました。


 しかし、それだけではありませんでした。


 次に浮かんで来たのは女性の寂しさや辛さでした。


 同棲していても中々会話する時間はなく、男性は仕事から帰宅すると機嫌が悪かったり、飲み会で帰りが遅かったり。


 女性が晩御飯を作って待っていても、それが意味を成さない日が多々ありました。


 女性が体調が悪い日に、晩御飯の支度が出来ていないとメールで知った男性は一言


 「じゃあ、外で食って帰る」


 それだけを返しました。


 それでも、女性は耐えました。彼も仕事で疲れているんだ。私だけがしんどい訳じゃないんだ、と。


 しかし、その想いは彼の浅はかな行いによって呆気なく打ち砕かれました。


 何時頃からか彼は週末に出張にいくことが多くなりました。


 彼女はそれを大変だなと思い、その日も食料を買いに出掛けました。


 そこで偶然、彼の同期と会いました。


 「あ、ご無沙汰してます」


 「いえいえ、こちらこそ彼がお世話になって」


 他愛もない挨拶、それだけで終わる筈でした。


 「あ、今日の晩御飯の買い物ですか?羨ましいなアイツ」


 「いえ、そんなこと」


 「自分は今日早引きだったんで、詳しくは分からないけど、アイツ今日機嫌よかったから、そりゃ、そうか」


 その言葉に一瞬彼女の時は止まりました。


 「え、彼は今日出張なんじゃ」


 「え?」


 そして悟りました。


 彼が嘘をついていることを。


 それがどういう理由からつかれたのかということも。


 その日、彼女は気付くと部屋に戻って来ていました。


 帰り道のことは一切記憶にありません。


 そこから彼女は泣き続けました。


 子どものようにわんわん泣きました。


 でも、苦しさは晴れません。


 彼のことを想い、考え続けるほど、泥沼に引き込まれれて行く、そんな感覚に襲われました。


 痛く、重く、辛く、苦しく


 そんな彼女の感情がダイレクトに男性に圧し掛かりました


 


 男性は差し出された一片を食べ終えると呆然としていました。


 女性は言います。


 「もう、辛いの。貴方のことを考えると苦しくて耐えられないの。だからお願い、もうバイバイしよ?」


 ワッと女性は泣き始めてしまいました。


 しかし、ハンカチで顔を覆いその音が外に漏れ出ることはありません。


 彼女はこうやっていつも耐えて来たのです。


 すると女性の後ろに座っていた彼が立ち上がりました。


 そして二人を見て一言




 「苦いだけのケーキなんか美味くねぇよ」




 そう言って立ち去りました。






 「あーっ、さいっこうに気分いいわ!」


 そう言う彼の顔は晴れません。


 何なら先程よりも苦しそうです。


 彼の持つ特別な力”ケーキに人の想いを乗せる力”


 これを用いて彼は今まで幾つもの出会いや別れを演出してきました。


 日頃から「リア充撲滅」を掲げる彼ではありますが、愛し合っていた者の別れは好きではありません。


 彼は暗い気分を振り払おうとケーキ屋に入りました。


 彼の好物はケーキです。それもあまぁーいやつ。


 彼がブツを物色していると、小学生ぐらいの女の子がケーキ屋に入って行きました。


 寒さで顔と耳がリンゴのように赤みを帯びています。


 キョロキョロしながらショーウィンドに辿り着いた少女はケーキの数とその美しさに「わぁ」と感嘆を漏らします。


 そして、少女は言いました。


 「あの、お母さんの誕生日なのでケーキください!」


 その姿に店内にいた大人たちが優しい気持ちになりました。


 寒い日になんとほっこり温まる優しさなのでしょうか。


 少女がケーキを受け取ると、彼はふと少女に尋ねました。


 「嬢ちゃん、お母さんのこと好きか?」


 少女はキョトンとしていましたが、こう返しました。


 「うん、大好き!」


 とても良い笑顔でした。


 彼はそっと、少女の想いを箱に入ったケーキに魔法をかけました。


 彼が店を出ると、寒く冷たかった風が穏やかになっていました。


 沈み行く夕日は悲し気ではなく、何処か明日への希望に輝いている、そんな風に感じられました。


 「帰るかぁ」


 独身貴族は帰路に就きました。


 その日買ったケーキは苦くて甘いガトーショコラでした。






 いやぁ、今までで一番楽しく書けました。

 この主人公の能力も結構気に入ってます。

 蛇足かもしれませんが主人公の簡単な設定も載せておきます。



 希望ヶきぼうがおか つなぎ


 斜に構えた独身貴族。歳は二十代半ばから後半ぐらい。口が悪い。

 ケーキに人の想いを乗せるというおしゃれな異能を持つが、これにより、恋愛の美醜を知り尽くしており、かなり拗らせてしまっている。

 この能力はケーキにしか使えないので、他の菓子、例えばゼリーやタルトなどには使えない。

 また、ケーキを象った飴細工などにも使えない。

 常日頃「リア充撲滅」を掲げ、ネット掲示板のお巡りさんでもあるが、腐っている訳ではない。腐りかけぐらいの認識でおk。

 仕事は相談屋。縁結び、縁切りには定評があり、知る人ぞ知る存在。

 過去の客には結構な大物もいて意外と人脈がある。

 隠しているが子どもや小動物が好き。猫派。

 


 御拝読いただきありがとうございました!


 もし、時間があれば御感想お願いします(催促

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― 新着の感想 ―
[良い点] 主人公の持つ能力の設定が面白かったです。ちょっとしたいたずらにも使えたり、時には人生をかけるような大きな相談事にも使えたり。その力で人を幸せにも不幸にもできる。振り幅の大きいその能力にとて…
感想一覧
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